仲代達矢さん追悼で再注目…“「勝新太郎」降板騒動” 意外な出演者が語った「主役は変えるべきじゃなかった」

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勝さんが失ったもの

 この降板によって、勝さんは大損害を被った。というのも、「影武者」は、日本で公開されるだけではなく“黒澤明監督の弟子”を自任している「ゴッド・ファーザー」のコッポラ監督と「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカス監督の口利きで、20世紀フォックスが全世界に配給することになっていたからだ。

「『七人の侍』で三船敏郎さんが国際スターになったのと同様、勝さんは『影武者』で、間違いなく国際スターのヒノキ舞台に乗ったはずでした」(プロダクション関係者)

 それだけではない。「影武者」の撮影のため、年内いっぱいスケジュールを空けて備えていただけにその年の仕事がなくなってしまったとも。

「それに、勝さんのギャラは、武田信玄と影武者の2役ということで3000万円と言われていました。これは、高倉健さんの2000万円を上回り、当時の日本映画としては最高額だったはずです。降板でこれも失ってしまったわけです」(芸能関係者)

 その後、勝さんの代役は仲代達矢さんに決まり撮影は進められた――しかし、降板騒動によって、製作費も当初の12億円が15億円にハネ上がったとされる。

「子供のケンカじゃないんだから」

 それにしても、主役を降ろされた勝さんが、納得できるはずはなかった。主役降板が正式に発表された7月21日、午後8時に東京・芝の東京プリンスホテルで記者会見を開いた。

 会見にワイシャツ姿で現れた勝さんは開口一番「黒澤さんに『俺が気に入らないのか』と言われた」。続けて、

「大人げないよな。子供のケンカじゃないんだから。時間が経てば落ち着くと思っていたのに……。(監督から)降りろと言われたんじゃ仕方がないよな、残念だけど」

 と、無念な気持ちを抑えながら弁解した。その上で、

「まあ、俺がいなくても、いい映画を作ってもらいたいね。そして、黒澤さんにはもっと大人になってもらいたいよ」

 と言うのが精一杯だった。

 しかし、ショックは予想以上に大きかったと言われる。この日に記者会見をしただけで、その後は、殺到するマスコミの取材申し込みも一切断り、沈黙を守った。

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