「高市総理VS中国」で日本からパンダはゼロに? 上野動物園「パンダ返還期限」まであと3カ月 担当者は「延長の動きはない」
「パンダを借りる必要はない」
「その直後の5月7日に来日したのが中国の胡錦濤主席(当時)でした。福田康夫首相との夕食会で日本が求めていたパンダ2頭の貸与に応じることを明かし、パンダが久しぶりに日本にやってくることが決定したのです」(都庁担当記者)
だが、それまでのパンダ外交とは様子が違った。
「それまで上野動物園のパンダにはレンタル料がかかっていなかったのですが、他の動物園ではレンタルが主流となっており、2頭で年間100万ドルといわれていました。そのため石原都知事は『随分法外な値段だ』としつつ、『(中国側が)友情の印と言って、それでカネを取るのはどんなもんかな』『払うのは都の税金。それまでして見たいかね』と突き放しました。とはいえ、両国のトップ同士の約束ですからね、結局、東京都は中国と合意を結びました」(同前)
この時、石原知事が何を言ったかというと、
《決して安い買い物はでなく5万ドル値切った。繁殖に成功し日本製のパンダをつくってほしい》
「100万ドルから5万ドルを値切って95万ドル(約8500万円=当時)となったわけですが、その頃は尖閣諸島の問題など日中関係はよくありませんでした。そのため上野動物園には『高額なレンタル料を支払い、中国に頭を下げてまでパンダを借りる必要はない』といった抗議があったそうです」(同前)
レンタル料は守秘義務
石原知事の発言は、日本生まれのパンダならタダでずっと日本にいられるという意味にも読み取れる。ところが今、日本生まれのシャオシャオとレイレイの返還期限まで100日を切っている。東京都の動物園担当に聞いた。
「パンダはワシントン条約で国際取引が禁止されており、飼育繁殖研究という名目で中国から借りています。シャオシャオとレイレイは確かに上野動物園で生まれ育ったパンダですが、両親のリーリーとシンシンは最初10年の貸与だったものの5年延長となり、来年2月20日までの貸与となっていました。しかし、2頭とも高齢となったため昨年9月に帰国しました。両親の約束をシャオシャオとレイレイが引き継いだことになります」
――子どもの代になってもレンタル料は発生しているのだろうか。
「そうです。それは続いています」
――リーリーとシンシンが日本にやってきた時は95万ドルだったが、今はいくらなのだろう。
「当時の協定には守秘義務がありませんでした。それで石原知事は95万ドルと言ったわけですが、今は守秘義務があるためお答えできません」
――まあ、当時より安くなることはないだろう。レンタル料に加えパンダは食費も高く、空調の徹底したパンダ舎はお金がかかっている。そこまでして元は取れているのだろうか。
「上野動物園はパンダだけではないので……。地元・上野の経済効果は大きいと聞きます」
――貸与期間の延長や新規貸与といった交渉は進めているのだろうか。
「交渉の相手は中国野生動物保護協会になりますが、いまのところ具体的な動きはありません」
――これまでパンダの貸与は国のトップ同士で決めてきたイメージが強い。だが、高市早苗首相が「台湾有事は“存立危機事態”になり得る」と発言したことに習近平政権が反発。日本への渡航自粛を呼びかけている。中国人民に日本に行くなと言っている中、パンダを日本に送ることなどあり得るのだろうか。
「東京都は国とは別のルートでのやりとりですので、そこはなんともお答えしようがありません」
果たして、パンダが再び日本にやって来ることはあるのだろうか。
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