米国で本格化する「AI失業」、有名テック企業が抱える「巨額の借金」…AIバブル崩壊の足音と「トランプ政権の窮地」
AI失業の傾向が顕著に
11月12日、米連邦議会下院が来年1月30日までのつなぎ予算案を可決したことで、過去最長となった政府閉鎖は43日間で終了した。
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政府機能は徐々に復旧しているが、米国経済に与えた影響は大きかった。第4四半期の成長率は1.5ポイント低下すると試算されている。
一方、政府閉鎖の終了はトランプ大統領に有利に働いたようだ。米CBSなどが16日に公表した調査結果では、55%が「政府閉鎖の終結交渉でトランプ氏と共和党がより多くのものを得た」と回答した。
だが、足元の経済は悪化し続けている。年末商戦の消費に暗雲が漂う中、今年の休暇シーズン(感謝祭の11月27日~来年1月中旬)の旅行需要が昨年に比べて弱まるとの予測も出ており、来年の中間選挙に向けて予断を許さない状況だ。
米国では人工知能(AI)が経済に及ぼす影響にも注目が集まっている。AIの影響で10月の雇用市場に異変が起きたからだ。ビジネスプロセスサービス企業のオートマチック・データ・プロセッシングは11日、10月25日までの4週間で週当たり平均1万1250件の雇用が減少したと発表した。
AIで市場に勢いも若者にしわ寄せ
米国で解雇が増えているとの調査結果はこれだけではない。再就職支援会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスも6日、米企業は10月に合計15万3074人の解雇を行ったと発表した。前月9月(5万4064件)と比べて約183%、昨年10月(5万3074人)と比べて約175%急増した形だ。
AIの影響を最も受けているのは若者だ。全米大学・雇用者協会が14日に公表した来年の米大卒就活市場の見通しは2021年以来の低水準となった。AI導入で業務の代替が進められ、若者の就業機会を奪う構図が鮮明になってきている。
生産性向上のため企業はAI導入に積極的だが、その潜在力を引き出せないでいる。マサチューセッツ工科大学(MIT)が約300社を調査したところ、AI導入の投資が回収できていないとの回答が95%に上った。AI導入は従業員の仕事をそのまま置き換えるといった単純なものではないことがわかる。
一方、AIブームのおかげで米株式市場は破竹の勢いだ。AI期待を背景とするバリュエーション(企業価値評価)の高騰は、1980年代後半の日本のバブル相場を彷彿とさせるとの指摘が出ているほどだ。
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