“人前で話すのが苦手”なネットニュース編集者を、5つの講座を受け持つ「プレゼン上手」に変えた「たった2つの方法」
人前で話すのが苦手で、冠婚葬祭などのスピーチを任された時、その瞬間まで憂鬱な気持ちになってしまうという方は少なくないだろう。カンペを用意したとしても、目の前に立ち並ぶ人々を見ると圧倒されてしまう。こうした状況は、クライアントに対するプレゼンテーションにおいても同じだ。ここでは、かつて人前で話すことが困難だった私がいかにして年間50回ほども人前で喋れるようになれたかを振り返る。【取材・文=中川淳一郎】
【意外】人前で話すことが大の苦手だった広告会社社員時代の筆者
お前はこの会社で通用しない
広告会社に入りたての頃の私は、スピーチやプレゼンが始まると全身から汗がダラダラと流れ、この瞬間に、巨大地震やら竜巻が来てこの会自体が中止となることを願ってしまっていた。新卒で入社した会社では、プレゼンは日常業務。新入社員の時は先輩社員がプレゼンをしてくれることがほとんどだが、時に「お前も場数を踏め」と言われ、プレゼンをするように言われた。
先輩社員は優しく、プレゼン前日に模擬プレゼンの場を作ってくれた。パワーポイントのスライドに従って話をするのだが、身内の先輩女性の前ですら緊張しまくった。そして模擬プレゼンが終わった時に彼女からこう言われた。
「10点」
この一言で意気消沈してしまったのだが、もう一回やったら「30点」と言ってくれた。そして、翌日の本番では、この先輩からフォローするから安心しなさい、と言われ、私はプレゼンに臨んだ。しかし、スーツの下のワイシャツの脇の下は汗びっしょりで本当に人前で喋ることが苦痛であることを痛感したのであった。
そういった意味で、自分は就職先を間違ったのではないか……、と悩むようになった。私が人前で喋る能力に欠けていることは、当然部長にも伝わった。ある日、部長から「ちょっといい?」と言われ、「トレーナー」と呼ばれる私の教育担当の先輩とともに打ち合わせコーナーに誘われた。
この時、部長は様々なパンフレットを用意し、これを私に渡した。いずれも「話し方教室」の案内である。「キミが話すのが苦手だという話を聞いた。広告会社はプレゼンするのが仕事なので、なんとかしなくてはいけない。ここに行ってみてはどうだ? 会社の近くの教室もあるし、キミの帰宅途中の吉祥寺の教室もある」と部長は言った。
この時、「お前は無能だ」「お前はこの会社で通用しない」と言われたような気がして大きなショックを受けてしまった。私が呆然としているのを察したトレーナーは「部長、それはいらないですよ。場数を踏めば大丈夫ですって。オレだって最初はしどろもどろでしたし、要は慣れの問題ですよ!」と言ってくれた。
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