「Wordの上書き保存」アイコンは何のマーク? 令和の時代にアップデートすべき“ビジネス死語”が実はかなり多い問題
時代が変わるにつれ、古くから使われてきた様々な慣用句が賞味期限を迎え、若者にとっては意味不明になっている。たとえば「壊れたレコードのように同じことばかり言って」という言い回しがある。40代後半以上であれば理解はできるだろうが、そもそもLPレコードを見たことがない人も多い。仮に見たことがあったとしても、「壊れたレコード」と言えば、LPレコードが割れている様子を想像するのでは。【取材・文=中川淳一郎】
【写真】当時50代の上司に「ゼロックスしといて」と聞かれたことも…1990年代後半広告会社社員だった頃の筆者の姿
ゼロックスしといて
この慣用句は、同じことをクドクドとくり返し語る人を、レコード盤の表面に傷があるせいで針が同じ場所で引っかかり、曲の同じ部分を何度も繰り返すことにたとえている。ちなみに、レコードを聴く人は傷がある箇所に達したら、針をつまんで少し先に進めて続きを聴くのである。私はかつてアニメソングのLPを持っていたが、「勇者ライディーン」の「ゆけーゆけー」という歌詞の部分でこれが発生した。よって、放っておくと「ゆけーゆけーゆけーゆけーゆけーゆけーゆけーゆけーゆけーゆけーゆけーゆけー」と永遠に続くのである。要するに「同じことばかり言うウザい人」の意味だ。
現在52歳の私は、子供の頃、冬に暖を取るにあたり、さすがにもう火鉢は使っていなかった。なので、漫画『サザエさん』の単行本に「たどん」というものが出てきて、これが一体何が何やらわからなかった。また、「外套(がいとう)」も分からなかった。たどんは、「炭団」と書き、炭を丸く固めた燃料で、外套は「コート」のことである。カツオが波平の「ジョニ黒」の瓶を割って「お父さんに怒られる~!」と泣くシーンもあったが、これはバーボンの「ジョニーウォーカーの黒ラベル」のことで、当時の高級酒の代名詞だった。今やそれ程高い酒ではない。この漫画のオチは、波平が見栄を張ってジョニ黒の瓶に麦茶を入れていて、カツオが泣くのを見てむしろ恥ずかしがるというものだ。
ここまでの死語のレベルではないにしても、「企業戦士」「写メ」「花金」「半ドン」はもはや死語だ。生涯現役と言われたり、年金受給75歳からといった時代、高齢労働者は「もう使わない方がいいビジネス言葉」を案外使ってしまっているかもしれない。
私が1997年に会社員になった時もよく分からない言葉だらけだった。「ゼロックスしといて」「がっちゃんこ」「仕事はてっぺんからが本番だ」「あんちょこを用意しとけ」などはよく使われていた。これらはそれぞれ、「コピーを取っておいて」「複数の人間からもらった書類を合体させること」「仕事は午前0時を過ぎてからがエンジンがかかる」「カンペというか、手元にメモを用意してスムーズに喋れるようにしておけ」の意味だ。お分かりいただけただろうか。
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