「中学受験までの平均読書量は“21冊”」 プロ161人にきいた中学受験の意外な真実と「読書の重要性」
小5までに読書習慣をつける意味
――読書の効果は中学受験以降にも続くのでしょうか。
読書の効果は長期的にも非常に大きなものがあります。小学生のうちの読書経験によって、中学入学後に国語力が大きく伸びる可能性もあります。土台となる力が蓄えられ、後々飛躍的に向上するケースも少なくないということです。
あるいは大学入試に目を向けてみると、たとえば早稲田大学や青山学院大学などでは複数科目を融合した総合問題が出題されていますが、これらの問題はかなり高度な国語力を要求します。また、総合型選抜や学校推薦型など推薦入試でも小論文が重視される傾向にあるので、こうした大学入試の場面で、読書によって培われた読解力が大きく花開くことがあります。
そのため、仮に中学受験の時期に「偏差値」に直結しなかったとしても、読書習慣を継続することで将来的な可能性を広げることができるのです。
――問題演習に忙しいというご家庭の場合、「読書は中学入試が終わった後から」と考える方もいそうです。
小学校の段階、特に小5までに読書習慣をつけることが重要という考え方もあります。この時期までは脳の働き方の特性として、興味がなくても様々な分野の本を受け入れやすい状態にあるといわれています。面白いと感じたものを制限なく読み進めることができるわけです。
今後の読書の幅を広げる意味でも、小学校低学年のうちから多様な本に触れておくことは重要といえるかと思います。
一つの目安は「20冊」
――中学受験に向けて、具体的にはどの程度の冊数を、どのように読めばよいでしょうか。
今回、中学受験に精通したプロ161人に読書量について尋ねたところ、精読であれば平均21冊、速読も含めると42冊程度が目安となることが分かりました。勉強を始めた時期にもよるとは思いますが、「20冊」を目標に取り組んでみるとよいのではないでしょうか。
ただし、冊数はあくまでも目安。数だけを追いかけるのではなく、質の高い読書を心がけるべきでしょう。
読書の方法としては、まず興味を持ったものから読み始めることが重要かと思います。楽しそうだと思ったものから手に取ることで、読書への関心を維持できます。また、読書ノートを作成し、読んだ感想を記録することもおすすめです。できれば親子で感想を交換し、交換日記のような形で進めていけば、より深い理解と記述力の向上につながるでしょう。
こうして培われる国語力は、問題演習だけでは得られない「文章への慣れ」と「忍耐力」、そして「安心感」をもたらします。中学受験の合格はもちろん、その後の学習においても大きな力となる読書習慣を、ぜひ早い段階から身に付けていただきたいと思います。
〈YouTube動画【小説文編:「中学受験の国語」頻出作品はこれだ 78の塾、161人の講師に聞いた「次に出る小説文」と「効果的な対策方法」】および【論説文編:78塾161人に独自取材!中学受験によく出る論説文と今後の出題傾向を大胆予測!対策方法まで包み隠さず具体的に明かします】では、小説文と論説文の頻出作家・作品のランキングや、塾関係者161人が予想する「次に出る4冊」などについて西田氏が解説している〉




