がんにかかっても手術1年待ちの時代が… 消化器外科医の窮状を解決すべく“名医”が乗り出した!
若手医師が減少
将来、がんにかかっても手術まで1年以上待たされる時代が来るかもしれない。あるいは、自分が住んでいる地域に手術ができる病院がなかったりする可能性もあるのだ。
【実際の画像】寄付額1300万円超え! 藤井教授の“クラファン”計画
厚生労働省の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」の取りまとめ(8月公表)によると、がんの手術を担う消化器外科医が、2040年には約5200人足りなくなるという。現役医師の高齢化が進み、40歳未満の若手医師が大きく減っているのだ。
医師全体の数は増えているのに、消化器外科医が減っているのは、異常ともいえる激務を強いられているからだ。すい臓がんなどは長時間手術が当たり前で、12時間勤務は珍しくない。土日も回診などで病棟に出向き、時には緊急手術で呼び出される。
すい臓がん治療の名医として知られる富山大学医学部の藤井努教授は、その現状を改善するために、シンポジウムを開いたり、メディアで改善を訴えてきたが、今度はクラウドファンディング(以下、クラファン)で資金を募っている。若手の消化器外科医の育成と、すい臓がん治療のさらなる開発のためだ。9月からスタートして12月まで募集する。目標金額は1000万円。なぜ、始めたのだろうか。
藤井教授が語る。
「クラファンをスタートさせたのは、何より消化器外科医が置かれている実態を広く知ってもらいたいからです。金額よりむしろ、そちらが重要でした。外科医といっても高級車を乗り回しているわけではないし、多くがアルバイトを掛け持ちしながら働いています。研究費が減っているため、若手の医師を育てるのにも事欠くありさま。せめて給料を上げて、待遇を改善してほしいのですが、診療報酬全体が引き下げられているので難しいのが現状です」
富山大学モデル
藤井教授は8年前、富山大学に赴任し、膵臓・胆道センターを立ち上げた。それと合わせて取り組んだのが、スタッフの待遇改善だ。手術時間やシフトを工夫し、長時間労働や休日出勤を削減。8時半出勤、5時15分退勤という体制を作り上げた。だが、他の病院で「富山大学モデル」を取り入れることは簡単ではない。医学界に色濃く残る“徒弟制度”などが立ちはだかっているからだ。
そこで、思いついたのがクラファンだった。
「私たちの取り組みがテレビ(TBS系『情熱大陸』)で紹介されたこともあり、(11月4日時点で)1300万円を超える資金が集まっています」(藤井教授)
もちろん、前述のように目標は金額だけではない。行政にも動いてもらって、「2040年問題」を解決するのが主眼だ。



