トランプ大統領が韓国の“原子力潜水艦”保有にOKも…専門家は「韓国に原潜はオーバースペック」と断言 「コスパが最悪」と呼べる2つの要素とは

国際 韓国・北朝鮮

  • ブックマーク

 日本と韓国の両政府が原子力潜水艦を保有する可能性に言及し、大きな注目を集めている。そして少なくとも韓国には、アメリカのドナルド・トランプ大統領もピート・ヘグセス国防長官も“ゴーサイン”を出した。だが専門家からは「日韓両国とも本当に原潜が必要だとは考えられない」と根本から疑問視する声もある。(全2回の第1回)

 ***

 まずは韓国から原潜建造に関する経緯を確認しておこう。発端は10月29日に行われた米韓首脳会談だった。

 会談で李在明(イ・ジェミョン)大統領はトランプ大統領に「韓国で原潜を建造する。アメリカには核燃料の供給をお願いしたい」と要請した──はずだった。担当記者が言う。

「原潜はアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、インド、中国の6カ国しか保有していません。原潜建造には多額のコストと国家の技術蓄積が必要であり、中国やインドでも当初はロシアの技術支援を得たほどです。一方、韓国は自国の技術だけで原潜を開発・建造する方針を明らかにしています。ところが米韓原子力協定は原子力発電という“平和利用”のみを想定しているため、軍事利用には様々な制限を課しています。この協定が原因で原潜の核燃料を確保できないと判断した李大統領は、米韓首脳会談でトランプ大統領に“直訴”を行いました」

 翌30日、トランプ大統領は「韓国の原潜建造を承認した」と発表した。これに韓国は沸き立った。「アメリカは韓国が原潜用の核燃料を確保することを認めてくれた。これで原潜の建造を開始できる」と判断したからだ。

 ところが、である。トランプ大統領は続けて「韓国は原潜をフィラデルフィアの造船所で建造するだろう」との考えを明らかにしたのだ。

韓国は「自国で建造する」と反論

「これで韓国は大混乱に陥りました。昨年6月、韓国の大手財閥ハンファグループが傘下の大手造船会社ハンファオーシャンなどを通じてアメリカのフィリー造船所を約1億ドル(約160億円)で買収したのは事実です。フィリー造船所はフィラデルフィア海軍造船所を前身とし、戦艦など軍艦を建造してきたノウハウを民間造船に転用していました。トランプ大統領が言及した“フィラデルフィア造船所”は、この“ハンファ・フィリー造船所”のことを指すと考えられます。ところが、このトランプ大統領の意向は韓国にとっては文字通りの青天の霹靂であり、しかも非常に迷惑な話なのです」

 韓国のメディアが今も詳報を続けているが、そもそもハンファ・フィリー造船所に原潜の建造が可能なドッグは存在しないという。

 韓国海軍で潜水艦のエキスパートとして知られていた文根植(ムン・グンシク)漢陽大学特任教授は朝鮮日報の取材に対し「造船所のインフラ構築だけでも3年から5年はかかるだろう」と答えている。(註1)

 韓国では「民間企業になったフィリー造船所には原潜を建造できる許可が下りていない」、「アメリカ議会が賛成するとは考えられない」、「アメリカで建造するとコストが跳ね上がる」、「韓国の国家予算でアメリカの原潜を造らされるのではないか」──などなど、困惑の声や悲鳴が飛び交っている状態だ。

次ページ:韓国に原潜は“オーバースペック”

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。