演歌の大御所・鳥羽一郎が語る“ヒット曲の裏側” 「男の港」は一般発売されないご当地ソングだった、「カサブランカ・グッバイ」は“SMAP効果”で人気が急上昇
1982年のデビュー以来、40年以上にわたって演歌歌手を続けている鳥羽一郎。インタビュー第1弾では、NHK『紅白歌合戦』で7回歌われ、レコード売上でもサブスク(Spotify)の再生回数でもダントツである「兄弟船」について語ってもらった。
今回は、まずSpotify人気曲ランキング第2位の「男の港」にまつわるエピソードを聞いていこう。
人気曲「男の港」は地方の町の“ご当地ソング”として生まれた
「男の港」は、豊後地方の漁師が主人公。じっくりと聴かせるタイプの演歌で、1986年のリリース時、オリコン最高55位ながらTOP100に29週チャートインのロングヒットに。また、『紅白』では2回目の出場である’88年と、その後6年連続出場となった’93年に歌唱している。
インタビュー第1弾で、「兄弟船」は当初、デビュー曲の最有力候補ではなかったと明かしてもらったが、なんと「男の港」も本命ではなかったそうだ。
「当時、大分県に鶴見町(現・佐伯市)という小さな港町があり、“ご当地ソングを作ってくれ”という依頼を受けたんです。一般には発売されない委託制作盤として2,000枚くらいレコードを買い取ってもらい、町にお渡ししました。そうしたら、鶴見のカラオケスナックで大人気となって、“それならば全国発売しよう”とリリースしたところ、ヒットしたんです」
今でも、大分地方にNHK『のど自慢』があると、この「男の港」がしばしば歌われている。
そして、Spotify第3位には’96年のシングル「カサブランカ・グッバイ」がランクイン。本作は、恋多き男と決別する女の織り成すドラマ仕立ての歌謡曲を、鳥羽が声を張り上げることなく終始落ち着いた歌唱で歌った、異色の作品。“海の男、実直な男”という鳥羽のいつものスタイルとは全く異なっている。
「これは、脚本家の内館牧子さんが作ってくださったものを、ディレクターが5年くらい寝かせていた作品なんです。ディレクターは、ずっと海の歌を歌ってきた俺がいきなり“カサブランカ”だなんて、違和感があると思ったんでしょうね。
そんな状況の中、内館さんが次の大河ドラマ『毛利元就』を担当するというニュースもあったので、“じゃあ先生の作品を歌ってみよう”とリリースしたんです」
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