木村拓哉、19年ぶり山田洋次監督作 平凡なタクシー運転手役で「キムタク」からの脱皮

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映画「TOKYOタクシー」

 俳優の木村拓哉(52)が11月21日公開の映画「TOKYOタクシー」(山田洋次監督)で新境地に挑もうとしている。木村が演じるのは、これまで築き上げてきた「イケメン」「ヒーロー」像とは一線を画す平凡なタクシー運転手。しかもお相手は大ベテランの倍賞千恵子(84)。W主演という表記の報道もあるが、主演が倍賞で、木村は共演となり二番手となる。長年、木村が作品の中心に立ってきたことを思えば今回は極めて異例のキャスティングだろう。

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 映画ライターがこう解説する。

「『TOKYOタクシー』は山田洋次監督の91本目となる最新作です。山田監督作品に欠かせない名女優・倍賞千恵子と、『武士の一分』(2006年)以来19年ぶりの山田組参加となる木村拓哉という豪華キャストが実現しました。原作はフランス映画『パリタクシー』(22年)ですが、今回は大都市・東京を舞台に木村演じるタクシー運転手が人生の終活に入った倍賞演じるマダムを乗せ、東京から葉山へと向かう中、マダムの壮絶な過去が明らかになっていきます。東京国際映画祭では『さすが倍賞千恵子。演技が素晴らしい』と好評を博しました」

 木村が演じるタクシー運転手は、娘の学費や車の車検代に悩む父親という設定だ。デビュー以来、木村はフジテレビ系連続ドラマ「ロングバケーション」(1996年)や「HERO」(2001年)、「教場」(20年)など登場するだけで作品が社会現象になるほどの存在感を放ってきた。しかし、その圧倒的なスター性ゆえに、木村の演技は「キムタクらしさ」という型に閉じ込められがち。視聴者は常に“かっこいい木村拓哉”を期待し、本人もまたその期待に応え続けてきた。近作の映画「グランメゾン・パリ」(24年)での剛腕シェフ役もその路線に沿っていた。

 そうした中、今回の「TOKYOタクシー」は木村のキャリアにおける転換点となりそうなのだ。

「タクシー運転手という職業は、木村がこれまで演じてきたきらびやかなヒーロー像とは対極にあります。人を乗せ、降ろし、また次の客を待つという単調な日常の繰り返し。そこに潜む人間の孤独や温もりをどう表現するかが、この作品の核となります。しかも共演の倍賞千恵子は日本映画界において老いと人生の陰影を深く演じられる稀有な女優。木村の熟成度が試されます」(前出の映画ライター)

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