木村拓哉、19年ぶり山田洋次監督作 平凡なタクシー運転手役で「キムタク」からの脱皮

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イメージを刷新か

 木村と映画と言えば、ひと悶着を起こした作品があった。2004年公開の香港映画「2046」だ。巨匠ウォン・カーウァイ監督が指揮した大作に木村が出演するとあって、木村の“世界進出”が喧伝されたのだが、ふたを開けたら予想外の事態が起きてしまった。

「トニー・レオンが劇中の現実世界の主人公を演じ、木村は劇中劇の主人公となるビジネスマンという役どころ。フェイ・ウォンやチャン・ツィイーら大物女優が脇を固めるという豪華な作品でしたが、上映時間129分のうち木村の出演はわずか7分間だったことが判明。すると、事務所サイドが慌てて出演時間に触れないようマスコミに頭を下げたんです。日本公開版では木村の出演シーンが大幅に追加されたのですが、興行成績はイマイチでした」(配給会社関係者)

“キムタク”という強固なブランドゆえの騒動だったが、その一方で山田監督との関係性についてこんな指摘も。

「倍賞は『男はつらいよ』シリーズなど山田監督作品の超常連で、『TOKYOタクシー』は70作目の山田組参加作品となります。物語が『男はつらいよ』シリーズの舞台でもある東京・柴又から始まるのも倍賞へのリスペクトがあるからでしょう。それに比べ木村が山田作品に参加するのは『武士の一分』以来、実に19年ぶりという長いブランクがあります。山田監督は自作『小さいおうち』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した黒木華を大変気に入ったため、翌年の『母と暮せば』にもすぐ起用しました。そんな山田監督が19年も木村を起用しなかったのは、山田監督の中であまり評価が高くなかったからかもしれません」(映画誌編集者)

 だからこそ、「TOKYOタクシー」は木村にとって正念場の作品となりそうだ。木村のイメージを刷新し演技派としての評価を高める可能性があるうえ、年齢に見合った役柄へのシフトにより50代以降のキャリア基盤を築くことができるかもしれない。

「キムタクらしくないという一部ファンの戸惑いや、興行面でのプレッシャーは否めません。ただ、木村ほどの経験を重ねた俳優がこうしたリスクを理解したうえで新たな挑戦に踏み出すところに覚悟を感じます。これまでは“キムタク”という強固なブランドが俳優としての幅を狭めていたとも言えます。どんな役を演じても“キムタク”にしか見えないといった評判は、木村が抱えてきた課題でした。ものまねタレントのネタとして使われる過剰な演技を抑制し、表情の変化や沈黙でセリフを語る姿にこれまで見たことのない“木村拓哉の素顔”が垣間見えます」(前出の映画誌編集者)

 大ヒット中の映画「国宝」のように大化けするのか。

デイリー新潮編集部

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