未経験の主婦に「原画」の依頼が舞い込む異常事態…日本アニメが大人気のウラで「制作現場がもはやパンク状態」「若手を育成するヒマもない」

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儲け一辺倒では業界の未来はない

 アニメ業界の有志が立ち上げたNAFCA(一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟)のように、業界内の技術水準を向上させる目的で「アニメータースキル検定」のような取り組みを行う団体も出てきた。とはいえ、人材育成には一定の時間がかかる。もっと業界全体が人材育成に本腰を入れるべきと、K氏が言う。

「人材を育てることを重視するアニメスタジオも誕生していて、業界にも改善の動きが見られます。私もそうですが、先輩アニメーターが個別に新人を指導している例も見られます。しかし、資金を出す側の企業からは、人材に投資しようという声があまり聞かれないんですよ。

 儲け一辺倒で、手っ取り早くアニメが完成するのであれば“生成AIでもいいや”と言い出すプロデューサーまでいます。海外で評価される質の高いアニメをこれからも生み出していくためには、生成AIに頼るのではなく、人材育成に投資をすべきなんですよ。日本のアニメがなぜ世界に評価されてきたのか、しっかり検証してからアニメ制作に参入してほしいと思います」

 第2回【“海外でも人気爆発”のはずが…なぜ「アニメの制作中止」が起きるのか? クラファンで資金集めも“制作費が倍増”で頓挫する例】では、アニメの制作費をクラウドファンディングで集めるも、資金が不足して頓挫したり、返礼品が転売されたりしている実情などについて詳しく解説している。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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