「殺処分」にまで言及で「JRAの本気度が違う」 「ザ・ロイヤルファミリー」が秋ドラまで好調なワケ

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 やはり日曜劇場は強かった。今期の連続ドラマではTBSの「ザ・ロイヤルファミリー」が強さを見せつけている。

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 今期の秋ドラマで初回視聴率が二桁に乗ったのは、「ザ・ロイヤルファミリー」とテレビ朝日の「緊急取調室 5th SEASON」「相棒 season24」の3作のみだった(ビデオリサーと調べ、関東地区・世帯:以下同)。それぞれの視聴率は以下の通りだ。

●「ザ・ロイヤルファミリー」(日曜21時)
第1話(10月12日)11・7%
第2話(10月19日)10・4%
第3話(10月26日)10・3%
第4話(11月2日)9・0%

●「緊急取調室 5th SEASON」(木曜21時)
第1話(10月16日)10・8%
第2話(10月23日)9・3%
第3話(11月6日)8・1%

●「相棒 season24」(水曜21時)
第1話(10月15日)10・4%
第2話(10月22日)10・2%
第3話(10月29日)9・5%
第4話(11月5日)8・3%

 いずれの番組も2桁を割っているが、民放プロデューサーは次のように話す。

「『ザ・ロイヤルファミリー』の第4話が放送された11月2日はMLBのワールドシリーズ最終戦でドジャースが優勝した日で、裏番組の『有働Times』(テレ朝)は11・3%を稼いでいました。にもかかわらず9・0%を記録したのは大したもの。それを差し引いても、第3話まで二桁を取り続けたのは『ザ・ロイヤルファミリー』だけですから断トツの強さと言っていいでしょう」

 公式ホームページには《競馬の世界を舞台にひたすら夢を追い続けた熱き大人たちの物語》とある。世の中の人がすべて競馬好きとは限らない。なのにどうして人気なのだろう。

TBSとJRAの本気度

「競馬ファンじゃない人にもわかりやすく描かれていることはもちろんですが、競馬通をも唸らせるリアルさがあるからでしょう」

 人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」の創業者・山王耕造(佐藤浩市)は競馬に魅せられ、社内に競馬事業部を設けていた。だが、息子で人事部長の優太郎(小泉孝太郎)は父が赤字続きの競馬事業部で経費の私的流用を行っているのではないかと疑う。それと同時に社長交代を目論み、税理士の栗須栄治(妻夫木聡)に調査を依頼するところから物語は始まった。

「競馬に全く興味がない栗須は当初、競馬事業部の撤廃を提言しますが、そうなると社長が所有していた馬はどうなるのか?と北海道で実家の生産牧場を手伝う元カノの野崎加奈子(松本若菜)に尋ねます。そこでの受け答えは、JRA(日本中央競馬会)が全面協力したドラマとは思えないセリフでした」

加奈子:もし引き取ってくれる馬主がいなかった場合、競馬学校や乗馬クラブ、あとはふれあい動物園とか。ただ、どこも余裕があるわけじゃないから、それも全部ダメだったとしたら……。

栗須:したら?

加奈子:処分されるしかないかもしれない。

「“処分”という言葉を使うとは思いませんでした。通常なら“用途変更”と専門用語でお茶を濁すわけですが、その多くは殺処分となります。その厳しい現実を『ザ・ロイヤルファミリー』は描いていました。また、第2話ではたった1勝することの難しさ、第3話では北海道日高地方にある生産牧場の衰退、第4話では地方競馬の騎手が中央競馬に移籍することの困難さを突きつけました。TBSもJRAも本気度が違う気がします」

 撮影場所も然りだ。

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