大谷翔平(31)の初球打ちは「得策ではない」のか? 「データ重視の現代野球で“ノーボール・ノーストライク”は打者に有利」とレジェンド打者も指摘
プロ野球ファンがテレビで試合を観戦している。すると応援しているチームの打者が初球を打って凡退してしまった。その時、「何をやっているんだよ、もったいない!」と叫ぶ人は相当な数に達するのではないか。実際、Xで「初球打ち もったいない」で検索を実行してみると、多数の批判が表示される。(全2回の第1回)
***
【写真を見る】大谷翔平にソックリ? 社会人野球で監督を務める兄・龍太さん(37)
論より証拠、Xのポストをご紹介しよう。《初球打ちマジでもったいないって》、《いやー初球打ちもったいない》、《いつから初球打ちが主流になったんだ?》、《勝ち越しの場面で初球打ちとゲッツー。もったいない》──という具合だ。
この「初球打ちは得策ではない」という考え方は、決して野球ファンの一方的な思い込みではない。何しろメジャーリーグでワールドシリーズ2連覇を果たしたドジャースの名将デーブ・ロバーツ監督が、あの大谷翔平の初球打ちに苦言を呈したこともあったのだ。
昨年の4月16日、対ナショナルズ戦で大谷は5打数2安打とマルチ安打を記録した。ところが打てなかった3打席は、いずれも得点のチャンスがあったにもかかわらず、初球を凡打してしまった。
結果、打率は3割4分1厘と好調を示したにもかかわらず、得点圏打率は0割5分3厘と低迷、両極端な数字になっていた。
試合後の監督会見で、アメリカのメディアは3打席を初球打ちで凡退したことに注目。ロバーツ監督に問いただすと、監督は「大谷は積極的な打者」と擁護した上で、次のように苦言を呈した。
「得点圏に走者を置いた場面でいつも以上に超積極的だと思うので、落ち着かないといけない。投球を見るように伝えるつもりだ」(註)
「0−0」は投手有利? 打者有利?
やはり初球を積極的に打つのは問題があるとロバーツ監督も認めたことになる。にもかかわらず、今シーズンも大谷は初球を打って凡退することが少なくなかった。歴史に残る名勝負となったブルージェイズとのワールドシリーズでも、Xにはファンの悲鳴が殺到した。
《ロハスのHRの後簡単に初球を打ちに行っちゃった》、《大谷があっさり初球打ちで2打席くらい終わってた》、《大谷選手初球打ちでアウト。もっと球数を稼いで、山本投手を休ませてやれよ》、《大谷2打席連続初球打ち凡打はちょっと》《大谷ってマジで初球打ち凡打多すぎだろ》……。
初球の入り方は難しい──プロ野球選手の中でも、特に投手と捕手が口を揃えるのを、ご存知の方も多いだろう。
名捕手、名将と称された野村克也氏がヤクルトで監督を務めていた時、野球解説者の広澤克己氏は4番を任されていた。
そして野村氏と言えば、相手バッテリーの配球を考えてバッティングするよう打者に求めたことで知られている。大谷のように初球を積極的に打つ姿勢を広澤氏はどう見ているのか、話を聞いた。
「初球打ちをどう捉えるかは、0ボール0ストライクは打者有利のカウントなのか、投手有利のカウントなのかという問題を考えることだと言えます。結論を先に申し上げれば、0ストライクは常に打者有利というデータが存在するのです。0ストライクのカウントは0ボールから3ボールまで4パターンありますが、どの場面においても次の球を打者が打つ可能性は高いことが分かっています」
[1/2ページ]


