「使うぐらいなら死ぬ」と話す映画監督も… “AI女優“がハリウッドを席巻する日は来ない3つの理由
「生成AIを使うぐらいなら死ぬ」
それに、役者とキャスティング・ディレクターを雇う立場である監督たちも、決してAIのファンではないのだ。
クリーチャーものを愛するオスカー受賞監督ギレルモ・デル・トロは、先日出演したアメリカの公共ラジオで、「生成AIには何の興味もない。将来、興味を持つこともない」と断言。「(AIを使うくらいなら)死ぬ」とまで言った。
また、「アバター」で3Dの一大ブームを巻き起こしたジェームズ・キャメロンも、年末に全世界公開される「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」の冒頭に「この映画に生成AIは使われておりません」という断り書きを入れるらしい。
「アバター」は画期的なテクノロジーが駆使されているだけに誤解されがちだが、キャラクターはナヴィという架空の生き物でも演じているのは人間であり、役者の仕事を奪ってはいない。それどころか、パフォーマンス・キャプチャーという技術を使うことで、現在76歳のシガニー・ウィーバーがティーンの女の子を演じることを可能にするなど、むしろ役者の仕事の幅を広げている。
キャメロンは、「人間の職を奪うことなく、製作費を削減するための使い方を模索している」とも語る。CG技術が発達していく中でそこにかかる費用も急激に上がっており、キャメロンですら「アバター」4作目と5作目が実現するかどうか不明と言っている状況だけに、それは生産的かつポジティブな姿勢だ。
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