「偽物の薬」で病気が治り、「国家のため」に命を犠牲に… 人間はつくづく思い込みの激しい生き物だ(古市憲寿)

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 プラシーボ(プラセボ)という言葉がある。日本語では偽薬。薬のように見えるが、薬としての成分を含まないもので、「砂糖で作った錠剤」や「食塩水の注射」などが使われる。数々の実験で、意外とプラシーボの効果は馬鹿にならないことが分かっている。さまざまな病気でプラシーボ効果の検証がなされていて、中には高価だと教えられた偽薬ほど効くという研究もある。

 ここまでは常識の範囲だと思う。経験則で人々は「病は気から」ということを知っていた。だがオープンラベル・プラシーボといって、「これは偽物の薬です」と被験者に伝えても、きちんと効果が出る場合があるという。...

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