「喫茶店で突然泣き始めて…」 名古屋主婦殺害、夫が明かす容疑者の“異様すぎる執着” 「再会で情動が一気に噴き出した可能性が」 精神科医が指摘
「高校時代に2度、バレンタインデーのチョコを」
逮捕時は名古屋市内の大型スーパーで事務のアルバイトをしていたという安福について、悟さんがこう振り返る。
「高校時代、同じソフトテニス部に所属していましたが、印象は“おとなしい”のひと言です。ただ彼女から高校時代に2度、バレンタインデーの時にチョコをもらいました。“好きです”と書かれた手紙を受け取ったこともありますが、私は当時、彼女の親友のことが好きだったため、気持ちには応えられないと断りました」
安福の親友に悟さんが告白することはなく、自分の秘めた思いを彼女が知ることはなかったはずだと話す。
安福と中高一緒だった同級生に話を聞くと、
「とにかく“地味で口数が少ない”といった記憶しかなく、本当に目立たない存在でした。高校では一緒のクラスになったことがなかったので、今回の報道で初めて同じ高校に通っていたことを知ったくらい、影の薄い女の子でした」
「テニスコートに現れ、何時間も私を待っていたことが」
卒業後、悟さんは同県豊橋市内の大学に進学するが、思わぬ形で安福と再会することになる。
「私は大学に入ってもテニスを続けていたのですが、ある日、大学のテニスコートに彼女が現われ、何時間も私を待っていたことがありました。名古屋から豊橋までは電車で2時間近くかかるため、このまま帰すのも気がとがめ、とりあえず近くの喫茶店に一緒に入ることにした。確か、その場で“こういうことをされると困るんだ”と言うと、彼女が突然泣き出して困り果てました」(悟さん)
安福も県内の別の大学に通い、テニス部に入っていたというが、
「待ち伏せをされた日以外にも、テニスの大会で、彼女が友達を連れて私を応援していたことがありました。まさか犯人だなんて思わなかったので、好意を寄せられていたことを警察には話していませんでした」(同)
悟さんは転居後も、現場保存のためにこれまで私費で2200万円以上を投じて、惨劇の舞台となったアパートを借り続けてきた。DNAなど証拠保全はなされていたが、いつの日か犯人を事件現場で実況見分に立ち会わせたいとの思いもあった。
しかし安福がどうやって、当時の自宅住所を突き止めたのかは不明という。
「彼女と奈美子に面識はなかったはずです。なぜ奈美子を狙ったのか。家内を殺されるほど、私は何かひどいことをしたのかと問わずにはいられません」(同)
「再会したことで、心の奥にしまいこんでいた情動が……」
凶行の背景について、精神科医の片田珠美氏は、
「安福容疑者のように、周囲から“おとなしい”と評価される人は、自己主張などをしない反面、内側で感情や衝動を抑圧しているケースが少なくありません。高校時代に2度もバレンタインチョコを渡すなど、彼女の恋心は本物だったと思われます。しかし大学生になって数時間も待ち伏せするなど、異様な執着へと変質している点に注目します」
精神分析の世界で「アンビバレント(両価的)」と呼ばれる感情が見え隠れするという。
「拒絶されたと感じて憎しみと愛着という相反する感情を抱き、ストーカー行為などへ転じる事例は存在します。そういった感情は一度、心の内に宿ると消し去るのは容易ではありません。事件の少し前に悟さんと再会したことで、心の奥にしまいこんでいた情動が一気に噴き出したのではないか。そして、その矛先は本人でなく、彼が最も大切にしている存在へと向けられた可能性があります」(同)
11月6日発売の「週刊新潮」では、近隣住民が明かす安福容疑者の素顔などと併せて詳しく報じる。










