「会社をクビになるほど忙しい…」 クマハンター「副議長トラブル」当事者が明かす信じられない暴言 「怒りに任せて出動拒否しているのではない」
出動拒否騒動まで……
クマと人間の関係は戦争状態に入ったと言っても過言ではない。過去最悪の死者数を記録して「クマ対策」は待ったなし。大慌ての政府は閣僚会議を開き本気度をアピールするが、駆除現場では人間同士のトラブルが見え隠れ。先行きに危うさを感じてしまうのだ。
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【写真】山道で絶対遭遇したくない、人と目が合った時のツキノワグマの鋭すぎる視線
クマとの戦いの最前線に立つハンターには、例年以上に負担がかかっているというが、ついには彼らが“ストライキ”を起こす騒動まで発生している。
北海道の日本海側に位置する積丹(しゃこたん)町では、クマの駆除でハンターが不当な扱いを受けたとして、猟友会が1カ月強も役場からの出動要請を拒否し続けているのだ。
この間、町内ではヒグマが小学校などに出没を続けていたが、役場はハンターに駆除を要請できていなかった。出動拒否の事実を、町は議会を通じて町民に説明していなかったことが発覚。解決に動かない役場へは爆破予告が来る始末で、今月1日からの町主催の文化祭が中止に追い込まれた。
「会社をクビになると揶揄されるほど忙しない」
ことの発端は9月27日、積丹町議会で副議長を務める海田一時氏(74)が、ヒグマ駆除で出動した猟友会のハンターたちとトラブルを起こしたことだった。
「あの日は、町から“海田副議長の自宅敷地内に設置された箱わなでヒグマが捕獲された。殺処分してほしい”との要請があったんです」
そう明かすのは、現場に立ち会った男性ハンター。
「駆け付けたハンター9名に対して、副議長は“こんなに人数いらないだろ”と言ったんです。それならとわれわれの仲間の一人が“これからクマを殺処分して箱わなから引っ張り出しますから、一緒にやってみませんか?”と答えたわけです」
生け捕りにされたヒグマは、道内でも大物の部類で体重が284キロもあった。少ない人数で処理できないのは明らかだったが、それを理解できない副議長は言い返してきたという。
「彼は“誰にモノを言っているんだ”と激高して“議会の予算を削って辞めさせてやる”“大勢いるのは金がもらえるからだろう”などと怒鳴り始めました」(同)
ハンターたちにとって、“暴言男”に付き合っている暇はなかった。
「目の前にいるヒグマは活発に動いていました。箱わななど簡単に破壊する力を持っているので仕留めるまでは時間との勝負。ハンターは銃刀法上、周囲に人がおらず跳弾の危険がないなど、安全が確保された環境でなければ発砲できません。“お願いですから下がって”と言っても、副議長は“俺を誰だと思っている”などと大声でわめいていた。なんとか離れてもらって、役場の職員さん指導の下で無事に発砲。仕留めることはできましたが……」(同)
もともとこの副議長は、以前からハンターに言いがかりをつけてくる存在だったとか。
「もう何年も前から、彼は狩りの現場に勝手に現れては“お前らは下手くそだ”などと誹謗中傷を繰り返してきた。ずっとわれわれは嫌な思いをしていたわけです。これまでは町から要請があれば、仕事を中断して出動してきました。もともとハンターは忙しないので、会社をクビになると揶揄されるほど。特に今年は出番が多くて疲れ果てています。そもそも義務でもなければ仕事でもない。ボランティアとして協力してきたので、町にお金を要求したこともありません」(同)
「怒りに任せて『出動拒否』しているわけではない」
地元テレビに暴言の有無を問われた副議長は、“俺は言っていない”などと主張しているが、ハンターたちからすれば問題の本質はそこではないという。
「今後も副議長が勝手に現場に現れるのなら、われわれは安全に活動できない。町が対策を講じてくれるまで、猟友会として協力を中断することにしたのです。報道されているように怒りに任せて『出動拒否』しているわけではありません」(前出のハンター)
ある町議が話を継ぐ。
「議場の控室で副議長本人は“俺は悪くない”と釈明していましたが、過去の議会で彼は“町外のハンターに予算が使われることは情けない”と言っていた。町のことは町でやるべきと考えていた節があるのですが、今年はヒグマの出没が多い。われわれはハンターさんに助けてもらわないといけない立場ですから、町民からも“早くなんとかして”という声が上がっています」
11月6日発売の「週刊新潮」では、この騒動が浮き彫りにした、わが国の「クマ対策」が地元ハンターたちの“善意”で辛うじて成り立っている現実、そしてハンターへの手当が経費の足しにもなっていない問題などについて詳しく報じる。



