「高市首相モノマネ」で炎上したキンタロー。と称賛された清水ミチコ 二人の“決定的な違い”とは
「顔芸」は人選とタイミングが鍵 キンタロー。の見切り発車過ぎた「時の人モノマネ」
一方で、キンタロー。さんの高市首相モノマネは今回が初挑戦。SNSに投稿されたその写真は一瞬で拡散されたが、「激似」でもなく「雰囲気は分かる」くらいの仕上がりだったように思う。
そもそもキンタロー。さんは、これまで前田敦子さんや松本まりかさん、アンジェリーナ・ジョリーさんなど、華やかな美女のモノマネで人気を博してきた。思いがほとばしるあまり声が裏返ってしまう瞬間や、大仰に片眉を上げる表情の作り方など「完璧な美女のちょっと変な瞬間」というギャップに目を付けた点が持ち味だった。だから誇張を笑いに変える構図が成立していた。近寄り難い美女たちを深く観察している目とリスペクトも感じられたのではないだろうか。だからモノマネされている側も「バカにされている」と機嫌を損ねることなく、前田敦子さんとは後に共演も実現している。
しかし高市首相という人物は、政治家としての評価が分かれ、就任間もない時期である。そんな人物を、まだ世間に「なじんでいない」段階でモノマネしても、「分かる分かる」という共通感覚が持ちにくい。単に「話題の人をやればバズる」というSNS的な計算が透けて見え、「芸としての完成度」よりも「注目狙い」の印象が先に立ってしまったのだろう。
また、キンタロー。さんの芸風は、表情の誇張とテンションの高さに頼る部分が大きい。わずか数秒で笑いを取るSNSの性質上、それは武器でもあるが、同時に誤解を生むリスクも高い。清水さんのように、表情や言葉使いなどの総合点で笑わせる職人芸とは対照的だ。
つまり、キンタロー。さんの「勢いの笑い」は、注目させる力は強いが、観察による「説得力の笑い」にはまだ届いていなかったといえるのではないか。
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