過去10年で最悪だった昨年に迫る勢い 「マイコプラズマ肺炎」「インフルエンザ」の感染が猛威をふるう理由とは
いったい秋はどこに行ってしまったのか。10月初旬まで続いた猛暑から一転、10月下旬にかけて12月並みに冷え込んだ日本列島。この「異常気象」とも言うべき寒暖差の影響で、体調を崩す人が続出している。さらには、重症化すれば命にかかわる感染症が猛威を振るっているのだという……。
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※本稿は「週刊新潮」2025年11月6日号掲載【秋なき「二季」来襲で流行中「マイコプラズマ肺炎」「インフルエンザ」から身を守る術】の一部を抜粋/編集したものです。
「感染症大流行」の要因に「異常気象」の影響か
先人が「天高く馬肥ゆる秋」と例えたような青空を、もう何日も見ていない。夜ともなれば鈴虫の鳴き声が聞こえるはずなのに、今年はそんな季節の移ろいを感じられない。そう思う向きも多いのではなかろうか。
1年の中でも過ごしやすいとされる「春」や「秋」が短くなり、「四季」が「夏」と「冬」に大別される「二季化」が叫ばれて久しい。季節の変化が急に起きれば、我々は身体に深刻なダメージを受けてしまう。
ただでさえ記録的な猛暑で身体が悲鳴を上げたところに、この寒さである。弱り目に祟り目ではないが、折しも全国的に「マイコプラズマ肺炎」や「インフルエンザ」など、厄介な感染症が流行っているのだ。
国立健康危機管理研究機構によれば、マイコプラズマ肺炎の全国患者数は、10月6日~12日(第41週)の調査で前週から12.5%増加。9月1日~7日(第36週)以降、6週連続で増え続けている。
そして「インフルエンザ」に至っては、すでに全国的な流行シーズンに入った。厚生労働省の発表では、第42週(10月13日~19日)の定点あたり報告数は全国平均3.26人。第39週(9月22日~28日)の1.04人から、実に約3倍にまで急増しているというのである。
全国の保育所や幼稚園、小・中・高校からは、第42週に休校13件、学年閉鎖63件、学級閉鎖297件の報告が上がっており、子どもを持つ家庭から大人世代へと感染は拡大し続けている。
感染症の流行に拍車をかける要因の一つが、ここ最近の「異常気象」である。
「10月上旬から中旬にかけては暖かい日が続いたのに、下旬で急に気温が下がる日が増えました。北日本から北陸、関東にかけては12月中旬並みに冷え込んだ地域もあります」
とは、お天気キャスターで、株式会社ウェザーマップ会長を務める森田正光氏。
「東京の最高気温は10月6日に29.3度で、8日にも28.4度と30度近い数字を記録しました。18日は25.9度まで上がり10月中旬としては珍しい夏日でした。ところが一転、23日には17.9度、翌24日は16.9度と11月中旬並みの気温となり、一気に10度近く低下。例年と比べても急激な気温変化が起きています」
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