過去10年で最悪だった昨年に迫る勢い 「マイコプラズマ肺炎」「インフルエンザ」の感染が猛威をふるう理由とは
過去10年で最も患者数が多かった昨年に迫る感染ペース
なんだか急に寒くなったと誰もが感じるのには、こんな理由があるそうだ。
「平年だと10月の東京の日照時間は約130時間あるのですが、今年は27日時点で58.8時間と半分にも達していません。天気の悪い日が続いているためですが、お日様を浴びる機会が少ないと体感気温も低下します。それが寒いと感じる要因になっています」(森田氏)
森田さん自身も、今年の気温変化は「急だ」と感じたとして、こう続ける。
「一般的に人間は23度くらいの気温を最も快適に感じて、18度を下回ると寒いと思う人が多くなるようです。つまり人間の体感における分岐点は18度から23度の温度帯。その前後に起こる気温変化を特に敏感に感じ取ります。私は病気に関する専門家ではありませんが、春先や秋口に体調を崩しやすいのは、この温度帯が関係しているのでは」
前述したマイコプラズマ肺炎とインフルエンザは、専門用語で「感染性呼吸器疾患」と呼ばれている。これらの感染症は、気温が低下して空気が乾燥する時期に流行しやすいというのだ。
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科で医師を務める寺嶋毅氏に聞くと、
「急激な寒暖差は病原体への抵抗力が落ちる要因になります。そもそも呼吸器は外の空気を直接吸い込むため外気の変化の影響を受けやすい。空気が乾燥して気温が下がると、喉の血流が悪くなり病原体を防御するためのシステム、免疫細胞の働きが低下します」
ゆえに例年マイコプラズマ肺炎は、秋から冬にかけて流行することが多い。
「昨年は11月から12月に大流行が起きました。過去10年で最も患者数が多かったのですが、今年はそれに迫る勢い。ここ数週間の感染者数の上昇と、さらに気温が下がってくる季節的な要因を考慮すれば、今後も感染者は増加するのではと心配しています」(同)
初期症状は発熱や倦怠感、頭痛などだが、強い咳が長く続くことも特徴の一つ。あの新型コロナやインフルエンザより、咳が出る期間が長引くというから厄介である。
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