「競馬ファンじゃなくてもハマる」と話題の「ザ・ロイヤルファミリー」 競走馬を通じて展開する“分厚い人間ドラマ”の魅力

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馬主も楽じゃない

 そもそも「馬主」は「ばぬし」ではなく「うまぬし」と読む(それも、同作を観て知ったという視聴者は多い)。耕造の馬主歴は20年で、会社名でもある「ロイヤル」の冠名を使っているが、気に入らない調教師とはすぐけんか別れする上に、そもそも本人に馬の血統知識や相馬眼が皆無で、レースでの勝利は数えるほどだ。

 そのため、会社の競馬事業部は赤字続きで、妻・京子(演・黒木瞳、65)は大の競馬嫌い。耕造の後継者候補である長男の優太郎(演・小泉孝太郎、47)は競馬事業部の撤廃をもくろむ。家族たちに反対されながらも、耕造は栗須とともに自身の目標である「有馬記念制覇」をかなえられる競走馬を探して奔走する。

「ドラマを見ていて分かったのは、まずは競走馬をオークションで競り落とし、厩舎に預け、トレーニングセンターで調教師がしっかり調教し、小さなレースからコツコツと勝ち上がり大舞台を目指すこと。馬の血統も大事で、親が優秀な馬なら、当然、オークションでの値段も高額になります。競走馬を育てるには、オーナー・牧場・調教師らがチームになるので、競走馬は関わったすべての人々の人生を背負って走るのです。耕造と栗須は自分たちのチームに優秀ながら、やや変わり者の調教師・広中博(演・安藤政信、50)を引き入れました」(同)

 馬主はいくら金があっても足りないことは、このドラマを見ていればよく分かるが、実際に馬主になるハードルは、かなり高いようだ。

「耕造と同じく個人馬主になるには、年額所得が2年連続2000万円以上、本人名義の不動産、預貯金、有価証券などの資産が1億円以上。一般人にはとっては夢のような話です」(スポーツ紙の競馬担当記者)

 次は馬探しである。

 第3話で耕造は、北海道・千歳で数々の名馬を送り出している「北陵ファーム」でのオークションに挑む。しかし、競馬界で最高ランクのG1レースに何度も勝利している「最強の馬主」と呼ばれ、潤沢な資金力を誇る人材派遣会社長・椎名善弘(演・沢村一樹、58)に、お目当ての馬を競り落とされてしまう。

 そこで出向いたのが加奈子の父が経営する牧場での「庭先取引」だ。要は牧場主との直接取引だが、加奈子の父・剛史(演・木場勝己、75)はかなりの頑固者。おまけに、売値は1億円と、庭先取引としてはかなりの破格。耕造の前に訪れた馬主は激怒して帰ってしまったほどだった。

「売れないと牧場はつぶれてしまいますが、剛史がなかなか売ろうとしないのにはそれなりの理由がありました。当然、耕造ともぶつかったものの、最後は耕造に売ることにしました。剛史が耕造の目を見据え『勝つ気はあるんですか?』と問いかけるシーンは、両者の気迫が満ち溢れていました」(先の放送担当記者)

実際の馬主の反響は

 第3話の放送後、G1優勝馬であるセイウンコウセイ、ニシノデイジーなどの馬主として知られる西山茂行氏(67)が自身のXを更新している。そこで《ドラマとしては素晴らしい作品だと思います。しかし現実ではない部分も多々見受けられます》とし、

《馬を買う前に牧場主を怒鳴る馬主はいません。買ってもらう馬主にあんな態度をとる生産者はいません》と書き込んだ。

「西山氏は世間が誤解するのを避けたかったのでしょう。ドラマなので、演出はあるのでしょうが、実際の関係者が反応したということは、かなりの反響があったのでしょう」(同前)

 そして、11月2日放送の第4話、ついに“切り札”が投入される。ドラマの語りを務めるも、役名が明かされていなかった人気グループ・Snow Manの目黒蓮(28)が劇中に登場することが予告編で明らかになった。今後の展開に注目だ。

デイリー新潮編集部

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