「競馬ファンじゃなくてもハマる」と話題の「ザ・ロイヤルファミリー」 競走馬を通じて展開する“分厚い人間ドラマ”の魅力

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10月ドラマでトップ

 ドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS系日曜劇場)の平均世帯視聴率は、10月12日放送の第1話が11.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。続いて10.4%(第2話)、10.3%(第3話)と、10月スタートの連続ドラマの中でトップを独走している。

 原作は山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した早見和真氏の同名小説(新潮文庫刊)。競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こす、人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリーである。主題歌は「田園」(96年)などソロとして数々の名曲を世に送り出してきたシンガー・ソングライター、玉置浩二の「ファンファーレ」である。

 制作にはJRA(日本中央競馬会)が全面協力。競馬場でロケが行われるだけでなく、本編レースシーンは実際に開催されたレース映像を使用。展開に合わせてCGによる加工処理がされており、競馬ファンにはかなり楽しめる内容となっている。その一方で、

「スポーツは全般的に好きですが、競馬は興味がありませんでした。しかし、日曜劇場は伝統的にクオリティーの高い枠で、熱い人間ドラマが描かれていることもあり、今作にもすっかりハマりました。職場や取材先、飲み屋でも話題に上がりますが、競馬に詳しくなく、普段あまりドラマを見ない50代以上の男女で見ている人も多く、『おもしろい』と声をそろえていました。競馬を知らない人でもハマること必至です」(放送担当記者)

 競馬好きでなくても、ドラマにハマる理由は一体、どこにあるのか。探ってみることにした。

 早見氏の原作は、ワンマン社長の馬主・山王耕造(演・佐藤浩市・64)と、その一族に付き添い続けた秘書・栗須栄治(演・妻夫木聡・44)の視点で、継承と克服の物語が描かれているが、ドラマの舞台は2011年から2030年に設定されている。

 先の記者氏が見どころとしてあげるのは、主人公・栗須の激変する人生だ。

 大手税理士事務所に勤務していた栗須は、税務調査がきっかけで耕造の会社「ロイヤルヒューマン」と関わることになり、事務所を自主退職。もともと、何の目的もなく仕事をこなすだけの日々を送っていた栗須は、自らの税務調査がきっかけで横領が発覚しクビになった耕造の秘書の後任として雇われる。その際に、耕造から突き付けられた条件は「俺を絶対裏切るな!」だった。

「栗須は“暴君”の耕造に寄り添い、精力的に秘書としての業務をこなしますが、税理士時代と比べて実にイキイキとしています。彼自身、競馬についても一から学ぶことになるので、競馬を知らない視聴者と同じ立場なのです。さらに競馬に関わることにより、北海道・日高で父の競走馬の牧場を手伝う、元恋人でシングルマザーの野崎加奈子(演・松本若菜、41)と再会。2人の運命が交錯することになります」(同前)

 そして、どうやって馬主が競走馬を発掘し、育て上げるのかも見どころだという。

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