「三菱UFJ銀行」「トヨタ」も導入する“法人向けマッチングアプリ”の驚きの機能 「告白するタイミングをアドバイスしてくれる」

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55人が交際

 平成の初めごろまでは、独り者がいると近所や職場の“お節介焼き”が強引に出会いの場をつくってくれることも珍しくなかった。ところが最近では、お節介がハラスメント扱いされたりする。いきおい、婚姻数は年々減り、少子化にもつながっているのはご承知の通り。

 そんな非婚化を解消しようというわけか、三菱UFJ銀行やりそなHDが行員にマッチングアプリの提供を始めたと、日経新聞が10月17日付の記事で報じた。導入したのは「Aill goen」というアプリだ。三菱UFJ銀行では8月末時点で366人が利用している。

「当行は以前から、“人的資本の活用”を重視しており、仕事だけでなくプライベートも充実させてほしいという考えがありました。実際、導入してみると“無料で使えてありがたい”という声が届いています」(広報部)

 一方のりそなHDも傘下の6社で同アプリを提供している。背景の一つには2003年の「りそなショック」がある。当時、同社傘下のりそな銀行は公的資金注入に追い込まれるほどの経営危機に陥り、男性行員が大量に退職。結果、女性行員が多いという人員構造が続いてきた。加えて、セクハラへの警戒から社内婚が減っており、会社としては “出会い”を提供したいという考えがあった。さらに、

「当社グループのこれまでの福利厚生制度は、最大公約数的な発想で、従業員ニーズの大きいものを中心にラインナップをそろえてきました」(りそなHDコーポレートコミュニケーション部)

 子育て支援ばかりで、独身者まではなかなか手が回らなかった。そこで同アプリの提供に踏み切った。昨年の導入から55人が交際にまで至っている。

特許を取得した機能も

「Aill goen」は、このほかトヨタ自動車など1500社以上が導入しており、法人向けマッチングアプリではシェアトップを誇る。破談後に人間関係がややこしくなる可能性を考慮し、同じ職場(会社)でのマッチングは提供しない気遣いも。

 アプリを開発した「Aill」の豊嶋千奈社長によると、

「私は製薬会社で働いていたのですが、“こんなマッチングアプリがあったらいいのに”と思って起業しました。特徴は、AIが二人のやりとりを観察しながら“告白のチャンスだよ”などとアドバイスしてくれること。マッチングは“言い方”“伝え方”“タイミング”が大事で、それをサポートしてくれる。この機能は特許を取っています」

 アプリの導入には福利厚生など企業に一定の基準が求められる。だから、結婚しても相手が毎晩残業というリスクは低い。ワーク・ライフ・バランスが保てそうな点も、評価されているのだという。

週刊新潮 2025年10月30日号掲載

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