欧州に行くと日本が最貧国だと実感…高市政権がとるべき「物価高」「外国人」対策の決め手
外国人問題の決め手も円安対策
円安の結果、日本は諸外国から眺めてバーゲン状態になっている。冒頭にイタリアの物価が日本の2倍だと書いたが、それはイタリア人からすれば、日本の物価はイタリアの半額だということにほかならない。このため、「好きだから」「興味があるから」ではなく「安いから」訪日する外国人がきわめて多い。かつて物価が安いというだけで東南アジアに押しかけていた日本人を思い出してみればいい。
つまり、この円安は訪日外国人の質の低下に直結しているのである。
外国人による日本の不動産の取得が増えたのも、円安のせいで諸外国にくらべて物件が相対的に安く、そのうえ低金利なので融資コストを低く抑えられるからだ。高市政権が金融緩和状態を維持しながら、外国人による不動産の投機買いを規制するとしたら、やはりマッチポンプになってしまう。
少子高齢化のために避けられない人手不足の局面でも、円安は大きな足枷になる。内閣府の『令和7年版高齢社会白書』によると、2024年の生産年齢人口(15~64歳)は7,373万人で、総務省の『労働力調査』が示す同年の就業者数(6,781万人)を上回っている。だが、白書の予測値に照らすと、2035年以降は生産年齢人口がこの就業者数を下回る。つまり、外国人の労働に頼らないかぎり、日本の経済状況は維持できなくなるわけだが、その際、日本で働いても、OECDの平均にはるかにおよばない収入しか得られなければ、能力が高い外国人を呼ぶのは至難である。低賃金でもいいと割り切れる外国人しか呼べないなら、外国人問題の解決などできっこない。
「物価高対策」の一丁目一番地である円安対策は、「外国人対策」の一丁目一番地である。高市政権には、まずは金融緩和路線から決別するところからはじめていただきたい。
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