「トランプ氏との緊密関係」は「高市政権の安定」に寄与するか 米財務長官の発言に早くも浮かんだ「サナエノミクスへの牽制」

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日本国債市場の不調は海外に飛び火しやすい

 前述のポーゼン氏の発言の背景には、世界の国債市場におけるヘッジファンドの存在感の高まりがある。たとえば、ヘッジファンドによる米国債への投資額は過去10年で10倍超に増え、保有残高は日本全体の2倍(約300兆円)に達している。

 ブルームバーグが6日、高市氏の自民党総裁戦勝利を受けて長期の日本国債のボラティリティー(変動率)が上昇しており、米国や英国の国債市場にも悪影響が及ぶ可能性があると報じたように、日本の国債市場の不調は海外に飛び火しやすい地合になっているのだ。

 債券市場の動向に詳しいベッセント氏がこの状況を看過するはずがなく、米国債市場に悪影響が及ぶと判断すれば、サナエノミクスに「ノー」を突きつけてくるというのが筆者の解釈だ。そうなれば、高市政権の求心力は一気に低下してしまうことだろう。

 上々の外交デビューを果たした高市氏だが、前途は多難だと言わざるを得ない。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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