「25歳まで酒とギャンブルはNG」「80万円の高性能PCを…」 「藤井聡太」からまたもやタイトル奪取の「伊藤匠」二冠(23) 師匠が明かしていた素顔

国内 社会

  • ブックマーク

 藤井一強だった将棋界が「藤井・伊藤」の二強時代へと変わりつつある。10月28日に行われた王座戦の最終局で、伊藤匠叡王が藤井聡太七冠(当時)に勝利し、タイトルを獲得。これで二冠となり、逆に藤井は六冠へと後退した。藤井はこれまでタイトル戦に33回出場しているが、敗れたのは昨年の叡王戦と今回の王座戦。つまり伊藤に敗北した二回のみだ。両者の対戦成績は藤井の14勝6敗だが、2024年度以降を見ると伊藤が6勝4敗と勝ち越すなど、好敵手となったと言ってよい。年齢も23歳と全く同じだ。

「週刊新潮」では、昨年、伊藤が藤井の八冠独占を崩して初タイトルを獲得した前後に、師匠である宮田利男八段に取材している。以下、それを再録し、彼の素顔を詳らかにしてみよう。
(以下は、「週刊新潮」2024年6月13日号、7月4日号記事を一部編集し、再構成しました。記事中の年齢や肩書は記事掲載当時のものです)

 ***

父は弁護士

 藤井と伊藤が生まれたのは共に02年。誕生日は藤井が7月19日、伊藤が10月10日である。5歳で将棋を覚えたのも同じで、伊藤の場合、ソフトウェア知財・法務などに詳しい弁護士の父親からクリスマスプレゼントに将棋盤と駒をもらったのがきっかけだった。そしてほどなく、自宅から歩いて行ける距離にあった「三軒茶屋将棋倶楽部」に通うように。そこの経営者で、後に伊藤の師匠となる宮田利男八段(71)が語る。

「5歳の頃から、毎日のようにここ(三軒茶屋将棋倶楽部)に来ていましたよ。最近はシュッとした顔をしているけど、当時は頬がプクプクしてかわいらしかった。今でこそ堂々としているが、昔は物静かでオタオタしていることの多い子だった」

「藤井を泣かせた男」

 そんな伊藤少年は12年、全国小学生将棋大会の準決勝で藤井少年と対戦。敗れた藤井少年が号泣したエピソードにより、「藤井を泣かせた男」と呼ばれることもある。しかし、その藤井が16年に史上最年少の14歳2カ月でプロ棋士となったのに対し、伊藤がプロになったのは20年、17歳の時だった。

「伊藤は奨励会三段リーグの時に、父親にPCを買ってもらったんだ。200万~300万円はする、すごい性能のヤツ。伊藤が四段昇格を果たしてプロ棋士になったら代金の半額を父親に返すという約束だったらしい。それまでは私が使うような普通のノートPCで研究していたんだ。高性能のヤツに変えたことも奏功して、四段に昇格したんだろう」(宮田八段)

 高性能PCを活用して将棋を研究しているのは藤井も同様である。

「今の将棋にはAIは欠かせない。ただ、今はそれを使うだけじゃダメなんだよな。AIが示す最善手がなぜ最善なのか、という理由を自分で考えないといけない。伊藤にはそれができる思考力、柔軟性があると思うよ」

次ページ:「将棋指してました」

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。