“初陣”で敗北の黒歴史…「名古屋地検特捜部」は廃止すべき? 発足当初から疑問視する声も

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名古屋特捜はポスト対策だった

 そもそも名古屋に特捜部が置かれたのは、平成になって消費税が導入されたことに伴う国税当局の組織改編で、全国の国税局に割り当てられた部長ポストの数が一つ減らされる事態を回避するため、脱税事件専門の査察部が、東京局と大阪局に続く3番目の専従部門として名古屋国税局に置かれたことに対応したものだ。

 前述の弁護士は「脱税事件が増えたからではなく、言ってみれば役所の都合でつくられた特捜部なのです」と裏事情を明かす。

「検察改革の過程で浮かんだ名古屋特捜の廃止論でしたが、実は必要性に対する疑問符は新設当初から、検察内部にはあったというわけです」(同弁護士)

 特捜部に与えられた使命については、提言書の中でも「汚職と脱税」の摘発と明示されている。

「政界汚職と、脱税などの財政経済事件の捜査に注力することが、特捜検察の改革に向けた最善の改善策なのは間違いありません」(同)

 前述の警察関係者は「政界汚職といっても、特捜部さんが期待されているのはやはり、なかなか私たち都道府県の警察組織には手が出しづらい中央政界でしょう。ですが名古屋地検がこれまで手掛けてきたのは市長レベルまで。地元の県警でも十分に対応できる事件です。法律のプロにしか出来ない難事件ではなかったというのが現実です」と話す。

 袴田事件や大川原化工機事件など冤罪発覚が続き苦境に立たされる検察。その中にあって名古屋特捜は、どのように活路を切り開いていくのだろうか。

岡本純一(おかもと・じゅんいち)
ジャーナリスト。特捜検察の捜査解説や検察内部の暗闘劇など司法分野を中心に執筆。月刊誌「新潮45」(休刊中)では過去に「裏金太り『小沢一郎』が逮捕される日」や「なぜ『東京高検検事長』は小沢一郎を守ったか」などの特集記事を手掛けた。

デイリー新潮編集部

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