何か言いたそうな彼に「言いたいんなら言って」 奥手男子を動かした“美人ピアニスト”の言葉

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 人生いろいろ、家族もいろいろ、幸福の形もいろいろ。近年、「結婚がゴールではない」という声も大きくなりつつあるとはいえ、ゴールインした二人には幸せになってほしいと思うのが人情というものだろう。

 そして、そのゴールに到達するまでには、十人十色のドラマがあるのは言うまでもない。目下、幸せに包まれているカップルにエールを送りつつ、出会いから現在までを根掘り葉掘り聞いてみる「令和の結婚事情レポート」。

 今回登場していただくのは、3月に入籍した、日本とドイツを拠点に活動するピアニストの川崎翔子さんと、スロバキア人ピアニストのヤクブ・チズマロヴィッチさんだ。今もドイツ・ミュンヘンとスロバキア・ブラチスラバでの遠距離婚だが、その隔たりをものともせず、長い年月を経て育てた愛が実を結んだ。

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「言いたいんなら言って」

 2011年10月、東京藝大博士課程の交換留学生としてミュンヘンへ飛んだ翔子さん。欧州ではさまざまなコンクールに挑戦。12年2~3月はフランス国境に近いイタリアのピネローロで出場。同コンクールでファイナルに進出し、リスト編曲によるワーグナーの「タンホイザー」で3位となったのがヤクブさんだった。

「ブロンドのクリクリとした髪で、演奏にも引かれるものがあった」と彼女。ヤクブさんは「笑ったときの目がカワイイ」と感じ、あいさつを交わす。高校生の時に初来日した彼は映画内の梶芽衣子に興味を持ち、邦画や盆栽にハマっていたのだ。

 その後、フェイスブック上でも友達となり、交換日記のようにメッセージをやりとり。4月には翔子さんが2泊3日で、彼が家族と当時住んでいたドイツ西部のケルンへ。ケルン中央駅に降り立った彼女を出迎えた彼。「ほら、ここがケルン大聖堂だよ」と指し示した先には何もない。緊張していた彼は、大聖堂がすぐそばにある出口とは反対から出てしまっていた……。

 彼女の要望で、最頂部の高さが約157メートルもある大聖堂に上った。彼女を楽しませたい一心だった彼が、実は高所恐怖症と明かしたのは後のことだ。

「留学期間の1年だけでは吸収しきれない」と考えていた翔子さんは、ミュンヘン音大に改めて入学し、ドイツ滞在が延びることに。ヤクブさんは彼女に交際を持ちかけたい気持ちでいた。

 5月、ミュンヘンを訪ねた彼は何か言いたそうにしていた。「言いたいんなら言って」と彼女が出した助け舟に乗り、「手を握ってもいい?」「僕のガールフレンドになって」と告げた。

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