「高市さんには公明党とのパイプ役が必要」 かつては“影の総理”と呼ばれたキーパーソン

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 自民党と日本維新の会による連立政権が成立し、高市早苗首相が誕生した。その陰で、石破茂前政権を支えた屋台骨に注目が集まっている。

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「森山氏を閣僚として取り込むべきだった」

「森山裕前幹事長の動向ですね。第2次安倍政権から岸田政権にかけて国会対策委員長を務め、任期は歴代最長の1534日。与野党に広く人脈を持ち、石破政権では党務から国会対策まで取り仕切る“影の総理”と評判でした」

 とは政治部デスク。森山氏は明言していないものの、先の総裁選では小泉進次郎防衛相を支持したと伝わる。地元・鹿児島県連の党員が投じた進次郎票が、高市票より1000票ほど上回ったからだ。

「その高市氏は幹事長に鈴木俊一前総務会長、総務会長に有村治子元女性活躍相と麻生派の二人を起用した。露骨な論功行賞人事です」

 1年ぶりに副総裁に返り咲いた麻生太郎元首相が実権を握ったかに見えるが、

「連立から離れた公明党の斉藤鉄夫代表は、いまはまだ物価高対策を盛り込んだ25年度補正予算案への賛成に含みを持たせています。それでも先々、彼らが野党側に振り切れば、国会運営はおろか次回選挙でも自民党の脅威になりますよ」

 その麻生氏は、大のつく公明党嫌いで知られる。

「麻生氏は公明党幹部を“がん”呼ばわりしたこともあり、両者の関係修復はほぼ不可能。高市氏には公明党とのパイプ役が別途必要です」

 昨年5月、岸田文雄首相(当時)はパーティー券購入者の公開基準を20万円超から、公明党や維新が主張した5万円超に引き下げた。これに強硬に反対した麻生氏を森山氏が押し切ったことで、森山氏は公明党との信頼関係を深めたとされる。

 自民党幹部が指摘する。

「森山は維新との関係も良好。副首都構想や衆院議員定数1割削減は一筋縄ではいかないので、調整がこじれて維新が政権から離脱すれば衆院で内閣不信任決議案が可決されてしまう。首相は森山を閣僚として取り込み、維新のお目付け役に据えておくべきだった」

悲願は衆院議長就任

 一方、自民党中堅議員はこんな見解を披露する。

「先の参院選の際、財政規律派の森山さんは野党が言う消費税減税をかたくなに拒んだ。代わりに公約とした国民1人当たり2万~4万円の現金給付は有権者に響かず、昨秋の衆院選では裏金問題で非公認となった候補が代表を務める党支部に2000万円を支給して大ひんしゅくを買った。あの人こそ、自民党を傾けた張本人だ」

 再び先の政治部デスク。

「今月11日、森山氏は鹿児島市で“(幹事長を)一度やってみたいと高望みしていたが貴重な経験だった”と振り返りました。ただ自身にこれで“一丁上がり”との意識はないようです」

 森山氏の悲願は衆院議長への就任とされ、

「4年前に旧森山派会長に就任したのも、派閥会長経験者という就任への条件をクリアするためだったとか。総裁選の恩讐を越えて高市氏に手を貸せば、次期議長の芽は十分出てきます」

 老獪な政界遊泳は続く。

週刊新潮 2025年10月30日号掲載

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