「値上げラッシュ」のいまこそ語り継ぎたい…マクドナルドが「59円バーガー」を販売していた時代 「1日に10個買って食いつないだ」氷河期世代も

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 様々なモノの価格が上がっている昨今。ラーメンが1000円は当たり前、自販機を見れば、ペットボトル1本が200円になっている。かつて490円だった「てんや」の天丼も今は620円だ。無論、これまでが安過ぎたわけだが、今から四半世紀前の2000年頃、飲食各チェーンは安さを競い合っていた。讃岐うどんの「はなまるうどん」では2002年の東京進出時、かけうどん(小)が105円で、人々の度肝を抜き、東京の各店舗では大行列ができた。それが今や360円である。【中川淳一郎/ネットニュース編集者】

65円バーガーを10個購入

 牛丼も各チェーンが200円台の攻防をしていたが、元々牛丼は1980年代に「400円」が定番だったのになぜそこまで下げられるのか、若き腹ペコ男だった私は不思議で仕方がなかった。そしてもっとも仰天したのが、マクドナルドのハンバーガーである。

 1973年生まれの私は、マクドナルドのハンバーガーは200円というイメージがあった。1987年、ハンバーガーとポテトSとドリンクSが390円の「サンキューセット」が出た時は「こりゃお得だ!」と喜んだものである。同時期にライバルのロッテリアは「サンパチトリオ」を380円で出した。サンパチトリオの元ネタは昭和38年生まれの人気力士である保志(後の北勝海・現八角理事長)、小錦、北尾(後の双羽黒)が「花のサンパチトリオ」と呼ばれていたことが語源なのだろうか。

 さて、本題はマクドナルドのハンバーガーである。今年3月からは190円になったが、正直私の子どもの頃よりも安いため、特に違和感はない。だが、2000年頃、新卒で入社した広告代理店を辞めて、無職だった時はマクドナルドの激安ハンバーガーに食を支えられていた面が強い。

 ハンバーガーは1995年までは210円だった。それが130円にドッカーンと値下がりし、人々は狂喜乱舞したものである。2000年に65円になり、80円時代を経て2002年になんと59円になった!

 2001年、私の年収は60万円だったが、この時はマクドナルドのハンバーガーと98円ほどで売られているセールのカップラーメンばかり食べていた。当時、東京・池尻大橋と駒場東大前の中間点あたりの家賃3万円の風呂なし共同便所のアパートに住んでいたが、5日に1回、池尻大橋か駒場東大前のマクドナルドに行くのが常だった。

 65円バーガーを10個購入するのである。さすがに家族がいたらできない話ではあるが、このハンバーガーを毎夕食に2つずつ食べる。ポテトを買うカネはないため、カルビーや湖池屋のポテトチップスの大袋を付け合わせにする。ハンバーガーに入っている野菜はピクルスとタマネギだけのためさすがに野菜が足りない。

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