「値上げラッシュ」のいまこそ語り継ぎたい…マクドナルドが「59円バーガー」を販売していた時代 「1日に10個買って食いつないだ」氷河期世代も

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将来の若者のために使うべき

 そこで、スーパーで買ったレタスを挟むのだ。時にはベーコンを焼いたり、スライスチーズを挟んだりもした。残り8個のうち2個は冷蔵庫に入れ、6個は冷凍庫に入れる。食べる時は電子レンジで温めるないしは解凍したうえ、オーブントースターでバンズをカリカリにするのである。これら家電はその年に大学を卒業して家具が不要になった新社会人からもらったものである。

 一体、仮にも4年間も企業で働いた社会人が何をやっているのだ、と思うだろうが、勢いで会社を辞めてしまったため、とにかく将来が不安で仕方がなかった。そんな時に助けてくれたのがマクドナルドの65円ハンバーガー(そして59円ハンバーガー)なのである。だから、カネのない時代に食費がとんでもなく安かったことは20年以上後の今でも感謝している。

 さて、日本の賃金もようやく上がり始めてきたが、物価の上昇ほどの上り幅ではない。2000年代前半のデフレで安い物価に助けられた現在の中高年は、若手世代の生活を少しでもラクにすべく、経済を活性化させるべく消費をすべきでは。

 第一生命経済研究所の熊野英生氏によると、「家計の保有金融資産残高は、60歳代+70歳以上では1257兆円にも達して、全体の約62%を占めるにまで至っている」とのことだ。その過半がシニア世代に偏っているのである。

 死後の世界があるのかも、そこが天国か地獄かも分からない。が、いずれにせよカネはそこまで持っていけないもの。安いハンバーガーの話から飛躍しているのは百も承知だが、カネを貯め込むのではなく、将来の世代のためにも、カネを保有している中高年はバンバン使ってもいいのでは。もちろん、生活が苦しい中高年には支援が必要であるのは前提だが。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

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