「ふるさと納税」寄附金のうち約5900億円が経費として消えていた! 「富裕層ほど得をする」指摘も
“税の奪い合い”
「週刊新潮」編集部が作成した「ふるさと納税ベスト&ワースト20」のランキング表を見ると、多額の寄附金を集める自治体の多くは、もともと極端な過疎に苦しんでいた地域ではない。宝塚市が1位となったのは今年、年配の夫婦が市立病院建て替えなどのために約254億円の高額寄附をしたことによるレアケースだ。
例年は返礼品のエンペラーサーモンが人気の北海道白糠町や、高級和牛の生産地・宮崎県都城市が上位を占める。しかも、返礼品として人気の高い高級食材などを提供しやすい自治体、つまりはベスト10に入る人気自治体への寄附額が、全体の1割強を占めるという偏った構図が出来上がってしまっているという。
平岡氏が続けて話す。
「漁業や水産加工業、畜産などが盛んな自治体なら、人気の返礼品を用意しやすく寄附も集まる。一方、過疎化で魅力的な地場産品を提供できない地域もあります。そんな苦境にあえぐ過疎地に限定するならまだしも、現行制度で寄附先の縛りはありません。過度な返礼品競争による“税の奪い合い”が起きていて、自治体間の格差拡大、対立と分断が生じているのです」
税の原理原則に反した制度との指摘もあるという。
「本来、税は自分が住む自治体に納税するものですが、自由意志で納税先を選択できてしまっては、納税者の間で不公平感が生じます。同じ自治体に住んでいて受ける公共サービスは一緒なのに、ふるさと納税を利用した人だけが税の負担額が違う。しかも富裕層になればなるほど得をする。税の公平性の観点からもおかしな話になります」(同)
さらに専門家が指摘する「別の懸念も」……。後編【ふるさと納税の問題点を菅元総理に進言して“左遷”されたエリート官僚も… 専門家は「制度自体が憲法違反」】では、実際に菅元総理に提言を行った結果、“左遷”された官僚の証言などについて詳しく報じる。
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