戦友ハヤタ隊員に感じる俳優の美学… “フジ隊員”が語る「ウルトラの魂」とヒロインの記憶

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黒部進さんから感じた「俳優の美学」

「ウルトラマンマックス」では、ウルトラマンのハヤタ隊員を演じた黒部進さんがトミオカ・ケンゾウ長官役で出演した。マン当時から桜井さんを「ロコちゃん」と呼ぶ黒部さんは「いい年でいい役をもらって演じられるのは(円谷プロへの)ご恩返しになるよ、ロコちゃん」と常々話していたという。

「『ウルトラマン』の時よりも戦友感が出て仲良くなりましたね(笑)。絆ができたというか。『マックス』の撮影中にもいろんなことを話しましたが、『やがて皆いなくなっちゃうけど、僕がいなくなったら来ないでね』という話もしていました。どういう意味なのかと思ったら『お墓にも来なくていいから』と言われてようやく得心しました。実は同じことを(『ウルトラマンマックス』にメトロン星人役で出演した)寺田農さんにも言われていたんです。(『ウルトラマン』などの作品で美術を務めた)池谷仙克さんの葬儀で隣り合わせたときに『ロコくん、僕がいなくなった時には来ないでいいからね』って。今、自分がいい年になって彼らの気持ちがよく分かるようになりましたよ。私のときにも来ないでね、って思いますもん。それは俳優の美学かもしれません。黒部さんと新幹線に一緒に乗っても、彼は寝る際には顔をタオルハンカチで覆いますからね。やはり『ハヤタだから』という気持ちはあるのでしょう」

まだまだ書けることがある

 15作品を取り上げた今作だが、触れていないものもある。たとえば1999~2000年にかけて「ウルトラマンティガ」が再放送された際に、バンダイのウルトラマン関連商品のインフォマーシャルとして放送された「ウルトラマンナイス」だ。家族6人のGOKAZOKU隊として、祖母の夢星キク役を演じたが、今著では取り上げられていない。

「実は、最近もプロデューサーや(ウルトラマンナイスに変身する)夢星銀河役の宮坂ひろしさんらと飲み会をやったんですが、インフォマーシャルということで、通常の作品とはちょっと違うステージにあったので」

 加えて、円谷プロのコーディネーターとして携わったDVD作品「ウルトラの揺り籠」(2003年)や、ラジオ番組「ウルトラQ倶楽部」(2003~2004年)など、取り上げたい作品はまだまだあり、それを著す意欲は強いという。

「まずは、前著と今作を多くの人に堅苦しくなく楽しく読んでもらえればうれしいですね。専門的な知識は書けないけれども、一俳優が触れてきた円谷プロの歴史を感じてもらえれば。そういうことを『言葉にして残しておきなさい』と飯島敏宏監督たちに言われましたから」

デイリー新潮編集部

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