「“女優の顔”の行為画像が2万点も…」 初摘発の「AIわいせつ画像」 容疑者の素顔

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 アイドルが150人で、女優やタレントは106人。そしてアナウンサーも6人。

 この262人のわいせつ画像を生成AIで約2万点作り、ネットのコミュニケーションサイト上で公開していた男が警視庁保安課に逮捕された。

 流通関連の企業に勤めるA容疑者だ。

「画像は、本物の女優らと区別がつかないほど、似ていました」

 と、捜査幹部が語る。

「サイバーパトロールで端緒をつかみ、10月15日にわいせつ電磁的記録媒体陳列容疑で逮捕しました。これまで一般人画像での検挙はありましたが、実在する女優やアイドルの画像を基に生成AIで作成されたわいせつ画像の摘発は、今回が初めてです」

 逮捕容疑は、今年の1月から6月、女優3人に酷似した画像3点を掲載。不特定多数が閲覧可能な状態で陳列していたというもので、

「画像は女性が一人で性器を見せている姿と男女の行為の様子でした。こうした画像が約2万点、コミュニケーションサイトに陳列されていた。なお、女性の顔に別人の体などを合成する“アイコラ”ではなく、生成AIに女優らの顔を読み込ませ、体のすべてを生成したものです」

 これらは会員制のサブスクで売られ、契約者は50人ほどだった。

専門知識なし

 先の捜査幹部によると、

「A容疑者がこの“副業”を始めたのは昨年10月ごろ。以降11カ月で約120万円を売り上げ、本人いわく“生活費や奨学金の返済に使った”そうです。違法性を認識しながらも“女性芸能人を模した画像は閲覧者の反響が大きく、多くの収益が見込めると思った”とも話している。なにより、会社勤めの傍らでも手軽に始められたのが大きかったと思います」

 その手軽さについて、社会部記者が解説する。

「AはAIを専門的に学んだことはなく知識もありません。生成AIの無料ソフトを自宅PCにインストールし、ネットの記事や動画で扱い方を学んだだけでわいせつ画像が作れた。SNS上の宣伝用アカウントで“全て架空です”とうたってサブスクに誘導。卑猥さによって月額料金を5段階に分けていました」

 プランは1ドルのノーマルから15ドルのゴールド、180ドルのプラチナといった具合で、高額プランでは人物やポーズも指定できるようになっていた。

「ですが、Aの労力はゼロ。契約者がどんな注文をしても、そのオーダーを生成AIに入力すれば画像ができる。副業に打ってつけでした。いってみれば、誰だってわいせつ画像を作れるのです。中学生や高校生が卒業アルバムなどの写真を用いて問題になった事例が発生していますし、小学生の男児が、好きな女子中学生のわいせつ画像を作りSNSに投稿した、なんてケースもありました」

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