山尾志桜里氏が高市首相にエール「女性初総理を祝福できないリベラルの自己矛盾」「今回玉木さんは総理を目指さなくて良かった」
選択的夫婦別姓の「現実的な解決策」
その連帯は、高市総理が重視する国家としての安全保障の要でもあります。だからこそ、いわゆる「リベラル」とレッテル張りされた政治課題をもきっちり解決して頂き、「リベラル」な国民と国家の間にも自然な紐帯を結んでほしいと思うのです。保守だからこそ解決できる「リベラル」な政策があるはずです。
たとえば選択的夫婦別姓。維新との合意文書には「戸籍制度および同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、社会生活のあらゆる場面で旧姓使用に法的効力を与える制度を創設する。そのために、旧姓の通称使用の法制化法案を26年通常国会に提出し、成立を目指す」と書き込まれました。戸籍の姓を家族で統一させつつ、望めば旧姓に統一した法的根拠を与えるという提案なら、バランスのとれた現実的な解決策といえます。
今の制度で生きづらさや働きづらさを感じている国民が相当数いることは事実ですから、ぜひご自身のコア支持層の理解を得て、来年の通常国会で成立させてほしい。高市総理が「全国民のための総理」になれるかどうかの試金石として乗り越えて頂き、リベラルをも包摂する国民国家の宰相になってほしい。そう期待しています。
国民民主は「妥協しなくて良かった」
今回の政局では野党が結束できず、政権交代は叶いませんでした。しかし結束したフリをして政権をとっても、国政の混乱と国力の低下を招くだけ。立憲民主党が自己変革できなかった以上、仕方ないことだったと思っています。
野党第一党である立憲民主党は、安保法制違憲論から卒業して現実路線に転換する最大のチャンスを逃しました。国防の要の制度について、範囲も示さず違憲論を唱え続ける政党に、国民が政権を渡すことはないでしょう。安全保障ではリアリズムに立つ中道政党の誕生はさらに遠のきました。
この点、国民民主党玉木代表がチャンスを逃したと評価する向きもありますが、少なくとも立憲が自己変革できなかった以上、立憲からの総理指名を受けなかった判断は正しかったと思います。
というのも私自身、玉木さんとともに2009年民主党政権で最初の議席を頂き、安全保障に関する党内不一致の軋みが最大化する中、野田総理の解散で2012年政権再交代を経験しました。その上、この民主党政権瓦解の最大の原因である安全保障のユートピア主義(註・現実離れした考え方)は、民進党そして立憲民主党にも引き継がれました。
そうした経緯もあって、やはり立憲民主党には憲法・エネルギー・安全保障政策で国の舵取りを任せられないと考えた議員たちが、国民民主党をスタートさせたのです。ですから、今回もそこを妥協して政権を共に担うという選択はできなかったでしょうし、するべきでもなかった。
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