優勝した芸人が最も活躍するのはどのタイトル? 「お笑い賞レース」乱立で広がる“格差”の意外な実態
悲願の優勝
コント日本一を決める「キングオブコント(KOC)2025」は、2年連続4回目の出場となったコンビ歴17年目、堂前透(35)と兎(37)の「ロングコートダディ(以下ロコディ)」が優勝し、18代目王者に輝いた。
【写真】王者になると文字通り“人生が変わる”「M-1」を創設した、伝説の漫才師にして名司会者
今年は史上最多となる3449組がエントリー。ロコディは昨年、優勝したラブレターズにわずか1点及ばず準優勝に泣いた。しかし今年は10組のファイナリストが臨んだファーストステージではトップの点数を記録。ファイナルステージでも1位の“完全優勝”で昨年のリベンジに成功。優勝賞金1000万円を獲得した。
「これまで、ビッグタイトルに縁のなかったロコディですが、漫才とコント両方を高いレベルでこなすことで知られています。漫才日本一決定戦の『M-1グランプリ(M-1)』では、2度も決勝進出を果たしています。今年7月に開催された、漫才とコントの両方で争う新しいお笑いコンテスト『ダブルインパクト~漫才&コント 二刀流No.1決定戦~(ダブルインパクト)』でも準優勝。ファイナリストの中では優勝候補筆頭といえる存在でした」(テレビ局関係者)
例年と同じく「KOC」は、同局の8時間にわたるお笑い特番「お笑いの日」の番組内で放送され、放送された午後7時から番組終了までの平均世帯視聴率は9.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。同時間帯の民放キー局の番組ではテレビ朝日系の「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん葛飾北斎ミステリーSP」の9.5%に及ばず、惜しくも2位だった。
ちなみに昨年12月22日生放送され、令和ロマンが史上初の2連覇を果たしたM-1の視聴率は、関東地区ででは18.0%の高視聴率だったが、関西地区ではそれを大幅に上回る25.5%を記録。テレビ局が生放送するお笑いコンテストでは揺るぎない地位を確立している。
「一般にお笑いコンテストで優勝すると、テレビを中心に仕事が急増し、“人生が変わる”と言いますが、はっきり言ってそれはM-1ぐらいですよ。優勝してしばらくは露出があるとしても、その後も人気と生活が安定する保証はありません。優勝はゴールではなく、あくまで通過点なのです」(元芸人マネジャー)
こんなにある「コンテスト」
ここで、民放各局が主催する、お笑い系コンテストを並べてみよう。
◆M-1(朝日放送)
01~10年、15~24年までで王者20組。決勝戦はテレビ朝日系で生放送。漫才日本一決定戦で、参加資格は結成15年以内1名(ピン)での出場は不可。3人以上のグループでも出場は可能だが。大半はコンビ。昨年のエントリー総数は10330組となり、初めて5桁の大台に達する。賞金は1000万円
◆KOC(TBS)
08年から今年まで王者18組。コント日本一決定戦。プロ・アマチュア不問。所属事務所・芸歴・年齢・グループ結成年数の制限なし。2人以上のグループに限る。1人(ピン)での出場は不可。賞金は1000万円。
◆「ダブルインパクト」(日本テレビ・読売テレビ)
今年7月に初めて決勝戦が行われ、お笑いコンビ「ニッポンの社長」が優勝。最も面白い漫才・コントの二刀流コンビを決める大会。出場資格は2人以上、プロアマ問わず、芸歴制限なし。同人物が異なるユニットでの複数エントリーや、即席ユニットでの出場も可能。エントリー総数は2875組で賞金は1000万円。
◆「THE SECOND~漫才トーナメント~(SECOND)」(フジテレビ)
23年と24年の王者2組は結成20年前後。プロのみによる漫才大会。過去に本大会を含む全国ネットの漫才賞レース番組で、優勝経験のあるコンビは出場できない。放送作家、ディレクターら番組サイドが審査を担当し、ノックアウトステージ(決勝トーナメント)に進出する32組が決定。優勝賞金は1000万円。
◆「女芸人No.1決定戦 THE W(W)」(日本テレビ)
17年から24年まで王者8組。最も面白い女性お笑い芸人決定戦で、参加条件は女性のみ。昨年のエントリー総数は過去最高の903組で優勝賞金は1000万円。
◆「R-1グランプリ(R-1)」(フジ・カンテレ)
02年と04年から24年まで王者23組。ピン芸人日本一決定戦。「とにかくおもしろいピン芸」であれば基本的に何でもあり。普段はコンビ・グループで活動している芸人でも個人で参加でき、アマチュアも参加可能。昨年のエントリー数は史上最多の5511人。優勝賞金は500万円。
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