「社員は泣いて喜んでいた」万博出展の森永乳業、社長が明かす意外な「次なる海外戦略」とは 「東南アジアではピノやヨーグルトよりも…」
次なる意外な海外戦略とは
そんな万博も惜しまれながら閉幕。次なる戦略を大貫社長に問うと、
「海外の売上比率が、当社はまだ12%と小さいんです。2028年度までの中期経営計画で、海外売上比率15%以上という目標を掲げているところです。今の国内の食品メーカーは、海外比率と利益率が相関関係にあることが多いですから、ここは当社の課題ですね。現在はベトナムなどの東南アジアやパキスタン、ドイツなどの拠点を中心に、取り組みを強化しているところです」
たとえば同社の看板商品・ピノについては、人気の高いアジア圏などへの輸出も増やしている。一方、海外攻勢をかけるにあたっては、ビフィズス菌などの菌体と、育児用のミルクをより重要な成長領域と位置付けているという。
「たとえば東南アジアの場合、味の好みがけっこう違ってきたりもしますから、アイスやヨーグルトなどをそのまま持ち込んで売れるかというと、また話が変わってくるところがあります」
特に育児用のミルクは、出生率が下がっている国内よりも海外で成長を見出すのは理に適っているといえようか。その半面、
「それが実は国内も、共働き世帯の増加によって、使用率や使用量は増加しているんです。男性の育児参加が浸透してきた影響ですね。加えて、当社の粉ミルクはシニアの方々にも人気ですよ。必要な栄養が効率良く摂れるので、“大人のための粉ミルク”として『ミルク生活』という商品も販売しています」
一概に「少子化」=「子ども向け商品は売れない」という話ではないようだ。
有料記事【「乳製品業界の特殊事情」から「少子化でも売れる粉ミルク」まで 森永乳業の知られざる経営事情を社長が明かす! 人気商品の意外な開発事情と“思わぬヒット・失敗”とは】では、ロングセラー商品の知られざる開発事情や、社長が経験した「思わぬヒット」と「失敗」など、同社の「経営」の裏側について、経済アナリストの森永康平氏の直撃に大貫社長が語りつくしている。
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