阪神と巨人がドラフトでも「伝統の一戦」!? 過去10年で5度も“1位指名”が重複…今年はどうなる?

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 いよいよ今月23日に迫ったプロ野球のドラフト会議。13日には広島が、創価大の内野手である立石正広の1位指名を公表するなど、各球団による情報戦が大詰めを迎えている。なかでも、ドラフト会議では近年、阪神と巨人が火花を散らしている。過去10年を振り返ると5度も1位指名が重複している。重複したのは佐藤輝明(近畿大→阪神)や浅野翔吾(高松商→巨人)らで、いずれも目玉選手ばかりだ。両球団は、チームの補強ポイントに関係なく、高く評価している選手を獲得する方針が明確になっている。【西尾典文/野球ライター】

10人体制で視察

 さらに“共通点”は他にもある。複数のスカウトが対象選手のチェックを重ねている点だ。各球団は、関東地区や関西地区などそれぞれに担当スカウトを配置しており、彼らをまとめるスカウト部長がいるのが一般的だ。

 しかし、巨人のスカウトは担当地区を持たないため、様々な地区を回り、複数人で視察する傾向が強い。例えば、ドラフト1位候補である鷺宮製作所の左腕、竹丸和幸が7月の都市対抗予選で投球した際、実に10人体制で視察していた。

 阪神は巨人ほどスカウトが多くないが、畑山俊二統括スカウトや東辰弥編成ディレクターら役職者はもちろん、担当ではない地区へ交互に赴き、複数のスカウトで選手の実力や将来性を確認する「クロスチェック」を重ねている。

 一方で、ドラフト戦略は大きく異なっている部分もある。それは、1位指名が競合して抽選で外れた後で指名する“外れ1位”や“外れ外れ1位”の選手について、阪神と巨人で判断が分かれている。

 阪神は、抽選で外した選手とポジションやカテゴリーが同じ選手を再び指名することが多い一方で、巨人は、抽選で外した選手と異なるポジションやカテゴリーで、評価が高い選手を狙う傾向がある。以下に、両球団の指名傾向を記載した。

〈阪神の指名傾向〉
2018年:センター候補の外野手
藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)→辰己涼介(立命館大→楽天)→近本光司(大阪ガス)

2019年:高校生右腕
奥川恭伸(星稜→ヤクルト)→西純矢(創志学園)

2021年:高校生右腕
小園健太(市和歌山→DeNA)→森木大智(高知)

2022年:強打者タイプの外野手
浅野翔吾(高松商→巨人)→森下翔太(中央大)

2024年:即戦力候補の左腕
金丸夢斗(関西大→中日)→伊原陵人(NTT西日本)

〈巨人の指名傾向>
2018年:内野手と外野手を経て、最終的に投手に変更
根尾昂(大阪桐蔭→中日)→辰己涼介(立命館大→楽天)→高橋優貴(八戸学院大)

2020年:野手から投手へ変更
佐藤輝明(近畿大→阪神)→平内龍太(亜細亜大)

2021年:先発左腕からリリーフ右腕へ変更
隅田知一郎(西日本工大→西武)→大勢(関西国際大)

2024年:即戦力左腕から高校生内野手へ変更
金丸夢斗(関西大→中日)→石塚裕惺(花咲徳栄)

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