阪神と巨人がドラフトでも「伝統の一戦」!? 過去10年で5度も“1位指名”が重複…今年はどうなる?

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ドラフト会議での伝統の一戦

 巨人についてはどうだろうか。昨年のドラフト会議で1位から3位まで野手を指名しているため、立石を外せば、投手に切り替える可能性は高い。

 巨人の球団関係者は、その理由について以下のように話している。

「クライマックスシリーズのファーストステージでDeNAに敗れた後、メジャーでプレーしていた前田健太や、国内FA権を取得した中日の柳裕也について、獲得に向けて調査すると報じられたが、これには反対意見が出ている。前田は来年で38歳になるし、チームには同学年で今季日米200勝を達成した田中将大もいる。柳は過去2年で7勝(10敗)と成績を落としており、本拠地が東京ドームに移ると、ホームランを打たれる確率が高くなるため、さらに厳しくなる。また、高年俸の柳を獲得すると、人的補償が発生し、若手の有望株が流出する恐れがある。巨人の球団内部には、実績があってもベテラン選手の補強は封印すべきだという声が少なくありません」

 巨人の「外れ1位候補」としては、明治大の左腕である毛利海大と東北福祉大の右腕、桜井頼之介を挙げたい。

 毛利は、今年の東京六大学野球の春季リーグで6勝0敗、防御率1.34という見事な成績を収め、ベストナインと最優秀防御率に輝いた。さらに秋季リーグでは、チームを5季ぶり44度目の優勝に導く活躍を見せた。多彩な変化球に加え、ストレートの球速も向上し、一気に凄みが増した印象を受ける。巨人は左腕の日本人投手が手薄であるため、毛利は補強ポイントに合致している。

 桜井は好投手が多い東北福祉大で、早くからエースとして活躍。今年の全日本大学野球選手権では、チームを7年ぶり4度目の優勝に導き、自身も最優秀投手に輝いた。ストレートは常時140キロ台後半をマークし、カットボールといった変化球のレベルが高い。

 果たして、両球団は立石に入札するのか、抽選で外れた場合のドラフト戦略はどうなるのか。ドラフト会議を舞台に行われる“伝統の一戦”にぜひ注目していただきたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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