幻の「玉木首相シナリオ」を描いていた高市総裁大物後見人の名前
代わりに連合を取り込む
「過去に麻生氏は公明幹部を“がん”と呼んだこともあるほど公明・創価学会嫌いで有名で、連立から公明を追い出せないかタイミングを見計らっていたのは間違いないでしょう」(同)
麻生氏は連合の芳野友子会長とも関係を深めてきた。公明を連立から追い出し、代わりに国民民主の支持母体である連合傘下の4産業別労働組合を取り込むーーそういった計算があったことは容易に想像できる。
「今回の総裁選では小泉進次郎農水相の当選を前提に菅義偉元首相を中心に自民と維新とで話し合いが進んでいました。高市氏の当選でいったんそれの雲行きが怪しくなったように見えましたが、麻生氏は仮に高市氏が首相になれない可能性を想定し、玉木氏を担ぎ出すプランを周辺に示していたようです。自民が玉木氏を担ぐシナリオが聞こえてきた元を探ると“玉木氏で衆院選を行った場合”に行き当たりました」(同)
落ち着くところに
「自民は解散をするか否かの判断基準に党独自の調査結果を採用しています。表ざたになっていませんが、自民が玉木首相を担いだあと、解散する場合までシミュレートし、勝利を収める可能性がそれなりに高いと見ていたことが推察されます」(同)
結果的に維新が公明に代わって自民の連立パートナーを務めることになり、国民民主が自民と連立を組むこともなく、玉木首相案も露と消えた。
「衆院勢力は維新35に対して国民民主27。自民としては維新とうまく行くならそうするのがベターだし、そもそも高市総裁ではない人物を首相に担ぐのはイレギュラー過ぎる。維新と組んだうえで高市首班指名というのは落ち着くところに落ち着いた印象です」(同)
今回の総裁選では麻生氏の主流派回帰への執念を感じさせたが、幻となった玉木氏擁立はそのことを改めて意識させる動きだったと言えるだろうか。
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