ウッズが「7度目の腰の手術」を発表…実は期待されていた1月の“復帰” 数々の奇跡を起こした“百獣の王”に「もう一度ミラクル」を望む声

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意外と寂しがり屋のウッズ

 エルスの呼びかけに、ウッズがどんなリアクションを見せたのかは明かされていない。しかし、チャンピオンズツアーにはエルスのみならず、スタンフォード大学時代からの親友でPGAツアーでも仲良しだったノタ・ビゲイや、ウッズが昔から兄のように慕っていたマーク・オメーラ、デービス・ラブ、スティーブ・ストリッカーといった面々が集結している。

「百獣の王」「猛虎」にたとえられてきたウッズだが、ああ見えて、意外と寂しがり屋で、顔見知りのメディアを見つけると、自分から寄ってきて声をかけることもしばしばである。親しい人々の輪の中では、とても人懐っこい笑顔を輝かせる「かわいいウッズ」でもある。

 そんな彼にとって、仲間が多いチャンピオンズツアーはきっと居心地がいい場所であり、彼がシニアデビューを拒否する理由は今のところは思い当たらない。

 さらに言えば、営利法人のPGAツアー・エンタープライズを創設したPGAツアーは、昨今では、興行ビジネスとしてツアー運営を厳しく見つめ、採算性を重視する方向へシフトしつつある。

チャンピオンズツアーの救世主に?

 そんな中、人気がやや低迷気味のチャンピオンズツアーが不採算部門と見られて切り捨てられないとも限らない。そうなることを何より危惧しているエルスなどのシニア選手や関係者たちは、チャンピオンズツアーを盛り立てていくための施策をあれこれ模索している真っ只中にある。

 もしもウッズがシニアデビューしてくれたら、チャンピオンズツアーの人気は一気に高まり、入場者数も視聴率も、収益も採算性も、劇的アップが見込めるのではないかと期待されている。

 その昔、アーノルド・パーマーやジャック・ニクラス、リー・トレビノらによって、シニアツアーの人気が高まり、ツアー運営が安泰になったように、今度はウッズがチャンピオンズツアーの人気を復活させるための救世主になってくれるのではないだろうか。

 7度目の腰の手術を受けたばかりの今は、戦線復帰への見通しも定まっておらず、シニアデビューの時期は遅れてしまう可能性が高まったと見られる。だが、数々の奇跡的な勝利や現象を起こしてきたウッズには、さらなる「ウッズの奇跡」を起こすことへの期待が寄せられている。

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 第1回【タイガー・ウッズ「奇跡の復活劇」で日本を沸かせて6年…最新発表「7度目の腰の手術」に至るまでの苦難と驚きの“交際報道”】では、2019年の奇跡的な復活を語るにおいて欠かせない日本での優勝や、その後の苦難について解説する。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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