「学会票がなくなった選挙がどうなるのか…」 自民議員が打ち明ける不安 「一気に2万票は減る」

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「学会票がなくなった選挙がどうなるのか……」

 公明党が連立離脱に踏み切った理由として、23年11月に池田大作名誉会長が95歳で亡くなったことも大きく影響しているという。

「自民党は95年夏の参院選で、学会が支持した新進党に比例票で凌駕(りょうが)されました。脅威を感じた自民党は学会批判を強めます。秋の臨時国会で政教分離問題を俎上(そじょう)に載せて、池田氏の証人喚問を要求。秋谷栄之助第5代会長の参考人招致を実現し、池田氏に圧力をかけたのです。そうした経緯もあって学会は自民と連立政権を組み、池田氏の証人喚問を未然に防ごうと努めてきたわけです」(乙骨氏)

 公明党にとって池田氏の死去以降、与党にとどまる意義は薄れていた。自民党と手を組むことで疲弊する一方の組織も何とか立て直したい。その思惑こそは、もはや“自己都合”以外の何ものでもない。

 だが、26年間の協力関係を経て自公両党は切っても切れない関係になっている。

 衆院選では、公明党が候補を擁立した小選挙区を除いて「選挙区は自民に、比例は公明に投票を」という共生関係が確立されてきたのである。自民党の中堅議員が打ち明ける。

「学会票がなくなった選挙がどうなるのか、不安は大きいです。これまでのように学会に応援してもらうという協力体制がなくなるわけですから。一気に2万票は減るとみています。落選の危機に直面するのは疑う余地がありません」

「私は政治とカネの問題の当事者だから……」

 自民党関係者も明かす。

「各事務所は学会から支援を得るため、虎の子の後援者名簿の提出を求められてきました。学会員はその名簿を使い、支援を呼びかけるローラーを展開します。議員の中にはそのことに抵抗感を抱く者が多いのですが、背に腹は代えられない。首都圏や都市部では少なくとも1万票、多いところでは3万票ほどの学会票が見込めますから」

 裏金問題で起訴された旧安倍派の会計責任者が裁判で「キックバック再開を要望した人物」と名指しした下村博文元衆院議員(71)は“諦念”をあらわにする。

「私は政治とカネの問題の当事者だから。今後、公明党からの支援は得られないでしょうね」

 ただし、自公の選挙協力の解消は公明党側にもマイナスに働く。

「斉藤氏は昨年、広島3区で次点の立民候補に約1万5000票差で勝利しましたが、自民党の推薦がなければ相当苦しい戦いになる。斉藤氏自身、13日のテレビ番組で“私の票の6割は自民党層から来ている。私の当選の可能性は極めて低くなる”と発言。今後の衆院選で、公明党は比例区に注力する考えを述べています」(前出のデスク)

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