「ほっとする人」と信頼されて… 関西放送界の至宝「新野新さん」の素顔【追悼】

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“出口”が大事

 放送作家の大河内通弘さんも言う。

「テレビに出たらあかんよ、だんだん書くことができんようになると言われました。でも出演を頼まれたら断らない。この番組はどうして自分を呼んでくれたのかなと全体を見渡し、役割や立場を理解していたのでトークで得難い存在になった」

 気難しい面もあったやしきたかじんとトークで息が合ったのも納得である。

「話の始まりや途中の広がり具合は自由でも、終わりが分かりにくくてはいけない、出口が大事と言っていました。日常ありきたりと思い込んでいるものも切り口を工夫すれば面白くなる。でも理屈っぽくなってはつまらないよとも話してくれました」(大河内さん)

 府立高校の芸能文化科で講師を務めたり、2000年以来10年にわたり関西の若手漫才師が競うライブをプロデュースするなど後進の育成に熱心。宇野宇、白尾城、鹿島我、宮内見ら放送作家として育てた弟子も。

 20代でごく短い期間結婚生活を送ったが、子供はおらず、独身だった。仕事現場から遠ざかっても慕われ、今年7月、卒寿の祝いが開かれていた。

 9月25日、90歳で逝去。

 新野さんは恩人であり、「ぬかるみの世界」があったから今でもこうしてしゃべっている、と鶴瓶さんは感謝を忘れなかった。

週刊新潮 2025年10月16日号掲載

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