業界内で「実力派」として知られた「ロングコートダディ」 4度目の決勝進出「キングオブコント」で優勝したワケ

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3449組の頂点

 10月11日、コント日本一を決める「キングオブコント2025」(TBS系)が放送され、堂前透と兎の2人から成るロングコートダディが優勝を果たした。決勝では2本のコントを披露して、いずれも高得点を獲得。今年の大会にエントリーした3449組の芸人の頂点に立った。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 ロングコートダディは業界内では実力派の芸人として知られていた。漫才とコントの両方を高いレベルでこなす「二刀流芸人」としても有名であり、漫才の大会「M-1グランプリ」でも二度の決勝進出経験を持っている。今年7月には「ダブルインパクト~漫才&コント 二刀流No.1決定戦~」という漫才とコントの両方で争う新しいお笑いコンテストが行われたのだが、ロングコートダディはそこでも準優勝という結果を残している。総合的なネタの実力で考えれば、現役世代の中では間違いなくトップクラスの逸材だ。

 今年の「キングオブコント」は、例年に比べるとやや盛り上がりに欠けている印象があった。決勝に残った10組はいずれも厳しい予選を勝ち抜いた実力者であり、それぞれが文句なしに面白いはずだ。しかし、決勝の舞台ではなぜか力を出し切れず、あまりウケていない感じがあった。審査員がつけた得点も全体的に低めだった。

 そんな中で、ロングコートダディとや団の上位2組だけは、ほかを突き放す高得点を取っていて、その実力を発揮していた。どちらも今年で4回目の決勝進出であり、安定感は抜群だ。それぞれ2本のネタで大きな笑いを取っていて、大会を盛り上げていた。

 や団は本間キッド、中嶋享、ロングサイズ伊藤の3人から成るお笑いトリオ。彼らのコントでは、主にボケ役の伊藤が大きな体を生かして派手な立ち回りを見せて、笑いを取る役割を担っている。それに対して本間がツッコミに回り、あきれながらも大声を張り上げる。中嶋はマイペースなキャラを演じてそこにかかわっていく。3人が舞台上を所狭しと暴れ回って笑いをもぎ取る泥臭くてパワフルな芸風に定評がある。

 一方、ロングコートダディはそれとは対照的に落ち着きのある芸風である。ネタの中でもあまり声を張り上げて強くツッコんだりはしない。落ち着いた演技でじわじわと観客を自分たちの世界に引き込んでいく。コントでは自然な会話を軸にして物語を展開させていく。1本のネタの中に大きい笑いを取る見せ場も仕込まれている。

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