「こんなことホントはしたくないのに」 “熟年離婚”創価学会員の不満は限界だった

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なぜ強硬姿勢に転じたか

 世間の焦点は高市氏同様、なぜここまで公明側が強硬姿勢に転じたか、だろう。

 先の参院選で公明は14議席以上の確保を目指していたが、8議席にとどまった。比例代表の得票数も521万票で目標の700万票に届かず、3年前の参院選に比べて100万票ほど減らした。昨年の衆院選、6月の都議選を含め、退潮に歯止めがかからないままだった。

「2022年7月に安倍晋三元首相が殺害されて以降、旧統一教会に絡んで宗教2世・3世がままならない人生を送ったり困難を抱えたりしてきた現実がクローズアップされました。“決してプラスではなかった”と学会内では分析されているようです」(同)

 公明の国政選挙における比例選での得票は2005年衆院選の約898万票をピークとし、それから右肩下がりで推移している。

「自民も同様ですが、支持層の高齢化と、それに伴う次世代への継承ができずに来たというのは大きな問題のようです。が、それらよりも大きなダメージを与えたのがコロナ禍でした」(同)

「ホントはしたくないのになぁ」

「選挙が近づいて学会員の知り合いなどから“公明が推薦する候補”に投票依頼された経験がある人は少なくないと思います。でも実は、こういった活動を嬉々として行っている学会員はそう多くないんですね」(同)

 知り合いか否かにかかわらず支援を依頼し、その反応について投票間違いなし=A、可能性高そう=B、微妙=C、望み薄=D……などといった評価をつける作業をひたすら続ける。

「“こんなことホントはしたくないのになぁ”という思いを抱えている学会員も多かった。それがコロナ禍がやってきてそもそもみんなで集まったりすることができなくなったため、その種の嫌な作業からも解放されることになった。コロナ禍を乗り越えた後、以前に比べて一連の政治的活動に身が入らなくなる学会員が増えているようで、それは公明の退潮とも重なるとのことです」(同)

 無理強いをされてきた政治活動も自公与党が勝利すればいくらか報われたが、ここ1年だけでも衆院選、都議選、参院選と3連敗――。我慢の限界だったというわけだ。

与党のうま味を捨てる

「1年に3つと選挙の数が集中していたこともありますし、さらに“負けすぎた”ことも大きい。縁もゆかりもない、友党だから応援せよという指令のもと選挙活動をしても落選が相次ぐとなれば現場は疲弊します。このまま行けば組織の崩壊は目に見えていたので、選挙で自公与党に追い風が吹かない限り立ち行かなくなるという見立てはありました。が、連立離脱まで行くとは聞いていなかったですね。与党であり政権の一角を占めることに“これ以上ないうま味”を感じているはずだと見ていましたから」(同)

 それでも公明はほとんどが想定しなかった一歩を踏み出すことになった。政権与党の一員として、大臣を送り込むことにこだわっていたとされる池田大作名誉会長の死の影響は小さくないとの指摘もあるが。

「選挙をサポートする活動は功徳になる、それが世界平和や人々の幸福を実現し、現世利益につながっていくという学会の考え方は変わらないですし、信仰と結びついています。公明以外の他党候補の応援を無理強いしないことで組織の疲弊度はいくらか緩くなるのかもしれませんが、政策実現に関する負担は党執行部が受け止めざるを得ない」(同)

 今回の連立離脱は学会員の離反を防ぐための方策だが、離脱してもしなくてもいばらの道であることは間違いないというのは衆目の一致するところだ。

デイリー新潮編集部

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