「とんねるず」の看板は守り抜く 「石橋貴明」不在も「木梨憲武」が単独で「スポーツKING」参戦の意味
人間的な魅力
木梨がレジェンド級の芸能人やアスリートを一堂に集めることができるのは、普段からの交友関係の広さと人間的な魅力によるものだ。年齢や立場を超えて自然に人を惹きつけるその人柄が、多くの人を招き寄せ、番組の質を高めることにつながっている。木梨が主導することで競技を超えた「遊び心のある真剣勝負」が成立する。
木梨は以前からアートや音楽の活動をはじめとして、ジャンルを横断して自由な表現を続けており、そのセンスが番組作りにも生かされている。今回の「スポーツKING」では、従来の「バトル形式のスポーツバラエティ」から、よりエンタメ性を重視した演出になる可能性が高い。
「スポーツ王」における石橋が現場を統率する監督型のリーダーだったのに対し、木梨は自らが自由に動くプレーヤー型のリーダーである。彼自身がフィールドに立ち、笑いながら、時にムチャぶりをしながら、全体の空気を自在に操る。その即興的な面白さが番組にリズムを与え、予定調和に陥らない自由な雰囲気を生み出す。
木梨が1人でこの番組を引き受けることを決めたのは、石橋へのエールという側面もあるだろう。2人で築いてきた歴史を壊すことなく、「とんねるず」という看板を守り抜く。それが自分の使命だと考えているに違いない。
とんねるずは、誰よりも「遊び」を真剣にやってきた芸人である。それが彼らだけの独創的なスタイルだった。その精神を今回の番組では木梨が1人で体現することになる。「スポーツKING」は単なるスポーツバラエティ特番ではない。それは、木梨憲武という表現者が、相方への思いを胸に、自らの手で「とんねるず」という物語を続けるための儀式なのだ。
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