法廷でニヤけ笑いした4名惨殺「大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人」少年犯 極刑確定後は「再審請求」 未だ死刑は執行されず

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社会の底辺を這うような…

 裁判を傍聴してきた司法記者がいう。

「裁判の途中で仲違いし、誰が主導的に犯罪を行ったか、ということで被告の主張が異なってくるんです。一人は合同の審理から分離され、別々に裁判が進行しました」

 あれだけ残酷な犯罪を起こした連中が、自分の命惜しさに仲間割れまでするとは、呆れるほかない。

 一体、彼らはどんな環境で育ってきた人間なのか。捜査関係者によると、

「小林は生まれて間もなく母親と死に別れて親戚の家に養子に行き、そこで小さい時から盗みを繰り返したり、道端でシンナーを吸ったりという手のつけられない不良に育っていく。教護施設や少年院を出たり入ったりの少年期を過ごすのです。小森は、大阪で中学を卒業後、府立の工業高校定時制に進みますが、1年で中退。飲食店に勤めたりしながら、暴力団の盃を受け、準構成員になり、どうしようもないワルになる。河渕は、7人きょうだいという子沢山の家に生まれ、父親は酒浸りで母親も煙草を口にくわえてゲームセンターに入り浸るような放任家族の中で育ちます。長屋暮らしで貧困のどん底のような生活でした」

 3人とも社会の底辺を這うような少年期を送り、冷酷で非情な人間性をつくり上げていったのである。

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 その後、最高裁で3名の死刑が確定したのは2011年のことだった。が、2025年の今も彼らの刑は執行されていない。刑事訴訟法では、死刑確定から刑が執行されるまでの期間を半年以内と定めている。2015~2024年に執行が行われた死刑囚の、確定から執行までの平均期間は9年強。一方、この3名は確定から既に14年の歳月を過ごしている。

 その背景には、死刑確定後も、3名が再審請求を繰り返していることの影響があるのかもしれない。彼らは請求の理由として、「事件時、離人症を伴う解離性障害であり、心神喪失状態だった」「事件時、シンナーを吸引し、心神喪失状態だった」「殺意や共謀が認められない」などと主張し、無罪や減刑を求めた。報道されているだけでも、小林、小森両死刑囚は2度、河渕死刑囚も1度、再審を請求しているが、再審請求中の死刑囚に対する刑の執行は、他の死刑囚に比べて慎重な検討を要するのが通例の運用なのだ。

 また、2012年には、死刑廃止を求める団体に「いま社会に一番伝えたいこと」を問われ、小林、小森両死刑囚が以下のように回答している(『死刑囚90人とどきますか、獄中からの声』(死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90/編)より)。

〈こちらの主張に真面目に真剣に向き合い、判断してくれる裁判官に出会いたいものです。その人に出会えるまで戦い続けるつもりです〉(小林死刑囚)

〈(職員は)7割以上はダメ職員。(拘置所長や幹部は)もう一度、勉強し直して来たほうが良い。(処遇の変化で悪くなったことは)職員・幹部の人材不足の結果、マニュアル生活の促進。こちらは動物園のサルではない。態度、口の礼儀をわきまえない者の増員〉(同)

〈裁判所なら事件の本当の事が分かって呉れるのではないかとも思っていましたが、自分の考えが甘かったのを実感しました。大罪を犯した者は事件の事実に沿った裁きを受けたいと思ってはいけないのでしょうか。裁判所と言うところがもっと信用される様に変わって頂きたいです〉(小森死刑囚)

 判決や拘置所での生活に不満があるようだが、法廷で見せていた「反省と謝罪の態度」は欠片も見えてこない。

 理不尽に「なぶり殺し」された4名の若者の命は二度と戻らない。その一方で、「史上最凶のリンチ事件」を起こした当事者たちは事件後31年にわたって生き永らえ、今年は揃って50歳の誕生日を迎える。「大阪・愛知・岐阜連続リンチ事件」の一連の経過は、加害者と被害者、そして「罪と罰」との間に横たわる“不条理”の大きさを、我々に強烈に訴えかけているかのように見える。

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