挨拶は無視され、車はパンク、怪文書…「素人に何ができる」 3児ワンオペ母の元主婦が年商1000億円「ご当地スーパー」を復活させるまで
会社は社員の夢を叶える場所にしたい
「“企業は人”……よく言われている言葉です」
照美さんのタイヨーで働く人々に対する思いは熱い。
「454億円の借入を10年で払い終えるには、働いてくれる人たちのスキルも上げなくてはいけなかった。なので、とにかく学びを続けてもらいました。経営陣には簿記の資格を取ってもらって、中小企業診断士や販売士1級の資格を取った人もいます」
パートでも医薬品登録販売者になってもらい、今では多くの従業員が登録販売者の資格を持っているという。
「弊社で働いている人には“スキルを上げてください”と。私はみなさんの“夢”を叶える手助けができればいいなと思っているんです」
そんな照美さん自身も、61歳にして慶應義塾大学大学院MBAを修了。67歳の今でも勉強を続けている。最近では、鹿児島から東京大学EMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)に通い、修了したという。
「私、好奇心旺盛なんですよ(笑)。東大の中で最先端の講義を受けられるなんて面白い。こういった経験を色々フィードバックできればいいな、と。
そして、ご縁があった方々には私たちと繋がってよかったな、と思って欲しい。会社が危機の時に多くの方に助けてもらいました。融資をしてくれた銀行の担当者様、弊社で働いてくれている従業員のみなさん。全員が“Win-Win”になれたら、こんなに幸せなことはないですね」
会社の机の上には、松下幸之助の「人間大事」「青春とは心の若さである」「現状維持は破滅!」「生涯一日一念」という言葉を貼って、日々仕事に励んでいるそう。
プライベートでは昨年、1人で16日間の南米旅行に行き、ウユニ塩湖、イグアスの滝、アマゾン川、リオのカーニバルを旅したという照美さん。今年の6月には、3冊目の著書にして初の小説(『飛べ、と言われた日』徳間書店)にも挑戦した。
「これからの夢? 70歳になったらフランス・パリで暮らして、料理を習ったり、絵を描いたりしたいですね」
軽やかにそう語った照美さん。これからも、まだまだたくさんの夢をかなえてもらいたい。









