食が細くなった60代からの食事術 「残してもOK」「食べられない自分を責めない」

ドクター新潮 ライフ

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オートファジーを働かせる

 腸の吸収力を高めるためには、腸内細菌の働きを活性化させる必要があります。そのために、納豆やキムチ、ヨーグルト、酒粕などの発酵食品や、食物繊維の多い野菜がお薦めです。ヨーグルトは、種類によって自分のおなかに合う合わないがありますので、2週間くらい試してみて、調子がいいなと思うものを食べ続けてください。

 カロリーは取り過ぎてもよくありません。高カロリーは脂肪になるだけです。実は、摂取カロリー過多の方と比べて、カロリーを制限した方が長生きするというデータがあります。人間は長寿遺伝子というものを備えていて、そのスイッチが入るのは空腹の時間といわれています。夕食後、小腹が空いたからといって、寝る前に食べない方がいい。空腹の時間を作ると、長寿遺伝子が活性化して修復力が高まるからです。

 オートファジーという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。細胞が飢餓状態に陥ると、細胞内の古いタンパク質を分解して新しいものに作り替える仕組みのことです。オートファジーを働かせるというのは、空腹時間がくれたプレゼントなのです。

適量以上のお酒は……

 このように空腹を感じる時間が重要なので、食べられなくなるということは、ダラダラ食べている人よりもアドバンテージになるのです。食べ過ぎの人よりも、長寿遺伝子が活発に働く時間帯があるメリットを生かし、食事の内容と質を良くしていけば長生きできる。食が細くて悩んでいる人にとっては、前向きな話ではないでしょうか。

 昼間は胃腸が活発に動いているので、なるべくその時間帯に食べる。夜遅くに消化活動をさせるのはよくありません。夜は体の修復の時間に入るので、できれば午後8時には食事を終えて、朝起きるまで10時間ぐらい間を空けるのが大切です。空腹を感じて朝を迎えるというのが理想です。

 お酒は適量であるべきです。私はスマートウォッチを着けて睡眠の質をチェックしていますが、お酒を飲むと寝入りは早いけれども、必ず眠りが浅い。睡眠の質が悪くなるというのがはっきり分かります。寝ている間に、脳のストレスを減らし体の修復、つまりメンテナンスをしているので、ストレスの多い方がやけ酒をすると、朝起きてもたまったストレスが解消されていないという悪循環になります。

 基本的には、効率的に必要な栄養を取っていれば健康的な生活が送れます。それほど難しいことではありませんので、「七つの黄金法則」を、是非、試してみてください。

関口絢子(せきぐちあやこ)
料理研究家・管理栄養士。東京都生まれ。川村学園短期大学食物学科卒業。テレビや雑誌を中心に、健康・美容・ダイエットに関するレシピや栄養情報を提供。自身のYouTubeチャンネル「関口絢子のウェルネスキッチン」は登録者65万人を超える。近著に『少食でもちゃんと栄養がとれる食べ方』(アスコム)がある。

週刊新潮 2025年10月9日号掲載

特別読物「YouTube登録者60万人 人気管理栄養士が薦める 食が細くなった60代からの『食事術』」より

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